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3種のビタミンが強化された遺伝子組み換えトウモロコシ
スペインとドイツの研究チームは、βカロテン(ビタミンAの前駆体)とビタミンC、葉酸が強化された遺伝子組み換えトウモロコシを開発しました。この研究成果は米国科学アカデミー紀要で発表されました。
世界人口のおよそ半分がビタミン欠乏症であるとされていますが、そのほとんどが単一の穀物から栄養を摂取している発展途上国に集中しています。ビタミン欠乏症により、βカロテンでは視覚障害、ビタミンCでは壊血症、葉酸では貧血や胎児の発達障害などが引き起こされる可能性があります。これまでも、遺伝子組み換え技術によりビタミンを強化した作物の開発が行われていますが、ビタミンは1種のみの強化で(βカロテン強化のイネ「ゴールデンライス」など)、複数のビタミンを強化した作物はありませんでした。
研究チームは、南アフリカのトウモロコシに5つの遺伝子を導入し、3種のビタミンの生合成経路を変化させることによって、それらを多く含むトウモロコシを開発しました。遺伝子組み換えトウモロコシは、通常のトウモロコシと比較して、βカロテンは169倍、ビタミンCは6倍、葉酸は2倍含まれています。このビタミン量は少なくとも自家受粉3世代目まで安定していることが確認されており、この成果が、発展途上国のビタミン欠乏症の解決に有効な、栄養に富んだ穀物の開発につながることが期待されます。