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農林水産省、国際研究戦略を発表、日本の農業技術や研究成果を活用し国際貢献

農林水産省は、5月21日、農林水産分野の情勢変化に対応した国際研究を目指す「国際研究戦略」を発表しました。農林水産分野を取り巻く近年の情勢や地域別課題について、開発途上地域を中心に整理し重点的に取り組むべき課題と方策を示しました。
農林水産省は2003年に発表した「国際農業研究の推進方針」において、国際的な食料問題や環境問題等の解決のための基本的視点や方策を示しました。これまでにも、これらの問題解決に向けた国際研究等の取り組みが様々な政策展開の中で行われてきました。近年、国際的食料需給の逼迫や地球温暖化問題の顕在化、食品の安全性への関心の高まりなど、国際研究を取り巻く環境は大きく変化しました。今回発表された「国際研究戦略」ではこうした動向を整理し、地域別の重点研究課題や研究推進の方策等を示しました。
国際研究を取り巻く情勢として、国際的食料需給の逼迫、地球温暖化問題の顕在化、食品の安全性への関心の高まり、遺伝子組み換え技術の実用性と応用可能性の拡大、知的財産権及び生物遺伝資源の重要性増大の5つが挙げられました。この中で、遺伝子組み換え技術については、世界の主要農業国における利用が急速に増えた品種改良技術とされており、地球温暖化や乾燥・冷害等の環境変動に対応する不良環境耐性農作物等の画期的な作物の開発に貢献できる技術と位置付けました。
重点研究課題として、アフリカ地域では、稲の生産性向上や乾燥に強い作物の開発、マメ科植物の導入による土壌肥沃度の改善などを通した飢餓・貧困の低減が挙げられています。アジア地域では、食品の安全性確保、土壌や水質汚染等の環境負荷の削減、廃材や搾りかす等の未利用資源を利用したバイオマス利活用などが挙げられています。さらに、地球規模の課題として、乾燥や塩害に強い作物の開発や栽培技術の確立によって地球温暖化防止に貢献することや感染症予防対策の推進などが挙げられています。
これらの課題に対し、日本の優れた農業技術や研究成果を活用した国際貢献が注目されています。例えば、日本が発見した「DREB遺伝子」には、乾燥や塩害などの不良環境から作物を守る働きがあることが知られており、遺伝子組み換え技術を用いて稲、麦、豆類にこの遺伝子を導入することで乾燥や塩害に強い性質が得られます。こうした技術の活用が世界の食料増産や緑化に役立つものと期待されています。今後は、日本が国際的にイニシアティブを取り研究をリードしていくため、オールジャパンの組織横断的なネットワークで取り組むとの方針を掲げました。

農林水産省ホームページ
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/080521.htm

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