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米国と中国の研究チームがパパイヤのゲノムを解読、遺伝子組み換え植物で初
米国ハワイ大学や中国南開大学などの研究チームが、遺伝子組み換えパパイヤのゲノムを解読し、その成果を2008年4月24日の英科学誌Natureに発表しました。パパイヤはゲノムが解読された5番目の植物で、遺伝子組み換え植物としては初めてのことです。
パパイヤは、ビタミンAやビタミンC、カルシウム、鉄分などを豊富に含む栄養価の高い果物で、熱帯・亜熱帯地域で栽培される重要な作物の1つです。また、パパイヤに含まれるパパインという酵素にはタンパク質を分解する働きがあり、医薬品や健康食品としても利用されています。
1990年代初頭、パパイヤは大規模なリングスポットウィルスの被害に遭い、果実を収穫できなくなる程の深刻な事態が生じました。現在では、リングスポットウィルスに抵抗性のある遺伝子組み換えパパイヤが開発され普及しており、今回その遺伝情報(ゲノム)が解読されました。
解読の結果、パパイヤのゲノムサイズはおよそ3億7200万塩基対で、遺伝子はイネ、ブドウ、ポプラなどに比べて少ない24,746個と発表されました。遺伝子については、大きな木に成長するために必要なリグニンの合成や、果実をつけるために必要なデンプンの合成、動物引き付ける香りに関わるものなどが発見されました。さらに、パパイヤがウィルス耐性をもった際の遺伝子の導入部位についても言及されました。
今回の成果は、他の果樹の品種改良に役立つ他、遺伝子組み換え作物に対する規制の緩和にも貢献できるものとして期待されています。
Nature ホームページ:
http://www.nature.com/nature/journal/v452/n7190/full/nature06856.html