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Btトウモロコシのマイコトキシン量は従来品種より少ない、米国農務省の雑誌にて報告
Bt(害虫抵抗性)トウモロコシは従来品種に比べカビ毒(マイコトキシン)の量が少ないことが、米国農務省の共同研究教育普及局(CSREES)協賛の雑誌Information Systems for Biotechnologyの2008年2月号で、報告されました。
マイコトキシンとはカビが産生する毒性物質の総称で、主なものとしてフモニシン、デオキシニバレノール、アラレノン、アフラトキシンなどがあります。
マイコトキシンを産生するカビに感染した作物を、人間や家畜が食べることで発癌性、肝臓障害、腎臓障害、神経障害などさまざまな中毒症状を引き起こします。このためマイコトキシンを減少させることは穀物の生産・流通過程において重要な課題とされています。
マイコトキシンの害は、虫害により傷ついた種子の表面にカビが感染することが主な原因の一つであるため、Btトウモロコシのような害虫抵抗性の作物では、従来品種よりマイコトキシンの量が減少することが期待されています。
例えばフモニシンは 人では食道ガン、馬では大脳白質軟化症との関連性が報告されています。今回、アメリカ、フランス、イタリア、トルコ、アルゼンチンの228か所の各試験所においてBtトウモロコシのフモニシン濃度は従来品種より有意に低いことが示されました。
また嘔吐・めまいなどの中毒症状を引き起こすデオキシニバレノール、女性ホルモン様活性を持ち、豚などの死産・流産を引き起こすゼアラレノン、天然物最強の発ガン物質であるアフラトキシンについても、現在までのところ限定的ではありますがBtトウモロコシでは減少する傾向が見られました。
遺伝子組み換えを活用した病害虫抵抗性作物などの普及は、生産性の向上だけでなく毒性物質の摂取の減少にも貢献できるものと期待されています。
Information Systems for Biotechnology ホームページ
http://www.isb.vt.edu/news/2008/news08.Feb.htm