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スペインにおける遺伝子組み換え作物栽培と共存に関する最新動向

遺伝子組み換え作物と一般作物はどうすれば共に栽培できるのか」をテーマとしたセミナーを日本モンサント株式会社が開催しました。ヨーロッパの主要な遺伝子組み換え作物栽培国であるスペインから生産者と研究者が講師に招かれ、遺伝子組み換え作物の栽培における共存の実践に関する最新動向について講演が行われました。
スペイン北部の農業関連企業Calverroc, S.Aの取締役であるファン・アントニオ・クラベリア・モラント氏は、スペインでは実際に「どのような考え方に基づいて遺伝子組み換え作物が栽培されているのか」について、従来作物や有機栽培作物との共存を中心に説明しました。
スペインでは、非遺伝子組み換え作物と遺伝子組み換え作物では飼料業界の購入価格に差は生じないため、生産者は害虫被害の程度など必要に応じて選択することができると述べました。共存については、農業生産者は古くから水の管理などをめぐり近隣との合意を形成してきたというバックグラウンドを語り、「生産者間の合意は難しいものではない」と述べました。実際のBtトウモロコシの導入を例に、生産者間の話し合い、栽培面積の20%相当の緩衝地帯、業界適正規範ガイドの実施などによって合意が得られていることを示しました。
アントニオ氏は、スペインではBtトウモロコシが栽培されて10年になるが、「遺伝子組み換えと非組み換え作物に関する訴訟は1件も起きていない。」と述べました。また、今後の農業の発展を維持するためには、「遺伝子組み換えなどの技術競争力が不可欠である」との考えを示し講演を締めくくりました。

講演後の質疑応答では、「GM作物混入の検査代はどこが負担するのか」という質問に対し、「買い取り先の企業が負担しており、検査は第3者機関で行っている」と答えました。また「Btトウモロコシの種は高価なのでは」という質問に対し、「非組み換えのものより5%ほど高いが、農薬散布が減ることなどでこの差は相殺される」と答えました。
続いて、スペイン・カタロニア州農業食品研究開発研究所・研究員のモンセラート・パラウデルマス・カリレス氏は「『共存』とは作物の生産やマーケティングの問題である」と定義付け、生産物の安全性に関する問題と混同してはならないことを冒頭で述べ、共存に関して、科学的・農業経済学的観点で進められている調査研究について講演を行いました。
モンセラート氏は遺伝子組み換え作物の「意図せざる混入」に影響する要素のひとつとして、交雑を挙げました。交雑は花粉の移動や特性、気象状況、開花特性、品種などの要素に左右されるため、生産者が完全にコントロールすることは難しいとして、ケースバイケースで研究する必要性を示しました。
トウモロコシの交雑に影響する主な要素は開花期の一致度と距離であるとして、圃場間の交雑予測指数である「グローバルインデックス(開花期の一致度/距離2)」は遺伝子組み換え作物の偶発的な混入予測に有益であると述べました。ヨーロッパ各国の政府が定めた隔離距離の中にはこうした実験的根拠のないものもあることを指摘しました。イネについても圃場試験結果から「イネとトウモロコシでは性質が全く異なるため、それぞれに合った管理規制が必要である」と結論付けました。

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