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欧州食品安全機関、飼料中の遺伝子組み換え成分は畜産製品に移行しないと結論
欧州食品安全機関(EFSA)では、これまでに報告されている研究結果を分析し、家畜に遺伝子組み換え飼料を与えても、肉、乳、卵などの畜産製品にはDNAやタンパク質は移行しないと結論づけました。
欧州委員会(EU)では2004年より、0.9%を超える遺伝子組み換え原料を含む食品や飼料に対して、表示とトレーサビリティを義務付けています。しかし、肉などの畜産製品は義務表示の対象外となっていることに対し、一部の環境保護団体などが、畜産製品への遺伝子組み換え表示を求める請願をEUに提出していました。
この請願を受けたEUは、飼料中に含まれる遺伝子組み換え成分が、家畜の組織や畜産製品に移行する可能性ついて、リスク評価機関であるEFSAに諮問しました。EFSAでは、組み換えDNAやタンパク質について「飼料の加工の際の変化」「家畜の消化器官内での変化」「消化された組み換えDNA断片が家畜に吸収される可能性」「家畜の組織に取り込まれた後の生物学的活性」を中心に、これまでに報告されている研究結果の分析を行いました。
その結果、飼料に含まれる組み換えDNAやタンパクは、家畜の消化管内で短い断片に分解されることが確認されました。また、家畜の組織や血液、乳、卵などから遺伝子組み換えに由来する成分が検出されたという例はありませんでした。これにより、遺伝子組み換え成分がそのまま畜産製品へ移行する可能性はないと判断されました。
さらに、健常人が遺伝子組み換え食品を食べた場合も、組み込まれたDNAやタンパク質は速やかに分解されて残存しないことも示し、遺伝子組み換え成分がヒトに吸収される可能性を否定しました。
肉や乳、卵などの畜産製品への遺伝子組み換え表示のあり方については、リスク管理機関であるEUによって、今回の結論を参考にして判断されることとなっています。
欧州食品安機関(EFSA)ホームページ
http://www.efsa.europa.eu/en/science/gmo/statements0/efsa_statement_dna_protein_gastroint.html