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米国とイスラエルの共同研究チーム、バラの香りのトマトを開発

イスラエルの農業研究機関Newe Ya’ar Research Centerと米国ミシガン大学の共同研究チームは、遺伝子組み換え技術を用いて、バラやレモングラスの香りがするトマトの開発に成功しました。その成果は2007年6月24付けで、米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー電子版に発表されました。

通常のトマトには香りの成分が少なく、リコピンと呼ばれるカロテノイド色素が豊富に含まれていることが知られています。実は、トマトの香りも色素も元々は同じ成分から作られるのですが、トマトの場合、色素を作る代謝経路の方が活発に働くために香りの成分はごく微量しか作られないのです。
そこで、同研究チームでは、レモンバジルから香りの主成分ゲラニオールを生成する働きの酵素の遺伝子を取り出してトマトに組み込みました。その結果、香りの成分を作る代謝経路が活発になり、バラやレモンに似た豊かな香りをもつトマトが誕生しました。このトマトを一般の人に普通のトマトと比較してもらったところ、ほぼ全員が「香水」「バラ」「ゼラニウム」「レモングラス」など、トマト以外の香りを感じると答えました。味についても、今回開発されたトマトの方が好きと答えた人が、普通のトマトを好きと答えた人を大幅に上回りました。

研究チームでは、この技術を活用すれば、カロテノイド色素を含む他の植物でも、花や果実の色や香りを自在に変えることが可能になるとしています。さらに、このトマトには殺虫・殺菌成分のある揮発性テルペノイドが高濃度で含まれるため、店頭での日保ちが良くなり、農薬の使用量も減らせるのではと期待されています。

米科学ネイチャー・バイオテクノロジー(電子版)
http://www.nature.com/nbt/journal/vaop/ncurrent/abs/nbt1312.html

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