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遺伝子組み換えの研究者らが表彰される オーストラリアのワタ産業の成功へ貢献
オーストラリア連邦科学工業研究機構(the Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation:CSIRO)の科学者らは4月26日、オーストラリアのワタ産業の成功に大きく貢献したことが評価され、2006年度のATSE Clunies Ross賞に輝きました。ATSE Clunies Ross賞は、Ian Clunies Ross記念財団から、オーストラリアの経済、社会、環境に多大なる貢献をしたと認められた科学者や技術者に与えられる大変栄誉ある賞のひとつです。
受賞者はオーストラリアの国立科学機関であるCSIROに所属するGreg Constable博士、Danny Llewellyn博士及びGary Fitt博士で、これらの博士のワタに関する研究成果は、1年につき数億ドルの生産性の向上をオーストラリアのワタ産業にもたらしました。オーストラリアのワタ産業は、困難な中1960年代にスタートしましたが、現在オーストラリアは世界第3位のワタ生産国となり、年間出荷額は18億ドル、労働人口は10,000人で、世界でも評価の高い繊維を生産しています。
この生産性の大幅な進歩は、遺伝子組み換え技術を活用することによって実現しました。博士らは、害虫に強く、かつオーストラリアの厳しい栽培環境に適したワタの新品種を生み出すことに成功し、1996年にオーストラリアで最初の遺伝子組み換え作物を発表しました。これによりワタの最も有害な害虫であるタバコガによる被害の軽減に成功したほか、殺虫剤使用量も大幅に減少しました。
その後、在来のワタに比較して86パーセントも殺虫剤の使用量を減らすことが可能な品種や、害虫抵抗性の他に優れた除草剤耐性を持つ品種なども開発され、現在では14を超える遺伝子組み換えワタを提供しています。2005年には、オーストラリアのワタ収穫量の90%以上をCSIEOの研究者が開発した遺伝子組み換え品種が占めるまでに成長し、オーストラリア農業に大きな環境的、経済的及び社会的成功をもたらしています。
博士らは現在も遺伝子組み換え技術の開発や新たな探求を継続しており、将来は耐病性や繊維性状の改善、成熟速度を改良したワタなども生み出される可能性があることが期待されています。
CSIROホームページ
http://www.csiro.au/csiro/content/standard/ps1nz,,.html
Ian Clunies Ross記念財団ホームページ
http://www.cluniesross.org.au/index.php?sectionid=136