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農業生物資源研究所 遺伝子組み換えイネの試験栽培に関する説明会を開催
独立行政法人農業生物資源研究所は3月18日、遺伝子組み換え農作物の栽培実験に関する説明会を開催しました。会には、近くにお住まいの方々や地元自治体等の関係者、研究者、消費者団体など約100人が参加しました。
説明会は、安全性に問題ないとして承認された組み換え農作物であっても、円滑に実験を行うことの情報提供を目的として開催されたものです。昨年行われた組み換え農作物の試験結果報告と今年行われる試験の詳細を中心に、研究者から説明が行われました。
同研究所では、スギ花粉症の症状を緩和するコメの開発が行われていますが、昨年行われた試験の結果、従来のイネと比較しても生育や形態に差がなく、周囲の生物や土壌微生物にも影響ないことが報告されました。また周辺の作物との交雑や雑草化の可能性もないことが確認されました。現在は、収穫した花粉症緩和米を動物に与えて、食品としての安全性についても調べているところで、本年も引き続き試験栽培を実施する計画であるとのことです。
また、研究所では草型改変イネ(草の丈を低くすることで倒れにくく、収量が上がるイネ)も開発しており、昨年栽培した結果、やはり雑草や交雑などの心配がないことが報告されました。
さらに昨年、遺伝子組み換え農作物を一般の人に見てもらうための展示栽培を行い、訪れた見学者は約500名にのぼったことが報告されました。メディア関係者を対象とした見学会も2回開催し、除草剤の影響を受けない性質や、害虫に強い性質の効果を、見学者に実感してもらえたということです。
今年も引き続き、世界で広く栽培されている除草剤耐性ダイズと害虫抵抗性トウモロコシの展示ほ場栽培を実施する予定です。
説明会では質疑応答、隔離ほ場見学の時間もとられ、試験内容や周辺環境に関する参加者からの質問に対して、研究者による説明が丁寧に行われました。遺伝子組み換え農作物について科学的事実に基づいた情報を提供して、試験栽培の様子も公開する姿勢は、参加者の理解と安心感を得られる結果となりました。今後もサイエンスコミュニケーションを重点として情報提供を行っていくとして説明会は締めくくられました。