GMO Answers
質問
ヒトへの臨床食餌試験が一度も行われたことがないのは、何故ですか?もし私が、原因不明で説明できない、あるいは、起こりえないような健康状態に陥ったとしたら、GMOを食べたこととの因果関係を調べてもらえますか? もし誰も、そのような関連性を調べていないとすれば、そのような関連性は、そもそも、存在しないということでしょうか? また、なぜ動物の給餌試験は3か月の試験しか行われていないのですか? ヒトは別種の動物として、長期に亘ってGMOを食べさせられていながら、3か月間ですらフォローされていないのでしょうか?
回答
GM作物やGM作物由来の食品の成分は、慎重に調べられています。毒性学や食物アレルギー、栄養学の知識を駆使することで、食品が有害作用を持つかどうかを、成分データだけからでも予測することができます。成分の調査研究により、食品そのものを使った動物実験よりも、安全性についてより確かな情報を得ることが出来ます。実際、多くの科学者は、食品そのものを使った動物実験の有益性を疑問視しており、そのような動物実験は不要であると提言しています。ヒトでの実験はさらに実施が困難で、食餌の成分が同じであれば結果も同じであるため、有益な情報もほとんど得られないと考えられます。食品そのものを摂食させる場合、動物実験であれば、動物に大量の食品成分を含んだ餌を毎日与えることができますが、ヒトの場合には、そうはいきません。さらに、動物実験では、最後に死亡後検査が実施され、ほぼすべての組織について病理検査を慎重に行うことができるため、供試された食品を大量に摂取したことによる病変を確認することができます。
動物あるいはヒトでの実験を効果的に行うには、明確な仮説と実験手法が不可欠です。このことは、科学原則として一般的に認知されています。食品そのものの食餌試験には仮説が欠けています。食品そのものを使う試験の根底にある問題は、食品が何千もの化合物から成る複雑な混合物であり、単一の純化学物質ではないということです。毒物学者たちは、単一の化学物質を使って動物実験を行い、その物質の毒性を調べます(ヒトの食事に必要な栄養素を含め、実質的にすべての化学物質は、摂り過ぎれば、毒になることを覚えておいてください)。もちろん、食品は一般的に食べても安全ですから、新たな品種の作物は、動物やヒトを使って試験はされません。数多くの成分研究に基づき、有意な科学的コンセンサスが形成されており、これは、GM作物の組成が、同じ作物の他の品種の組成よりも、GM作物の育種に使われた親系統の組成により近いことを証明しています。ですから、もし食品に対してヒトや動物を用いた試験を求めるのであれば、GM手法によらず品種改良された作物についても、そのような試験を要求せねばならないことになります
回答者 ブルース・M・チェーシィ回答者
ブルース・M・チェーシィ
Bruce M. Chassy
イリノイ大学、アーバナ・シャンペーン校、食品科学・人間栄養学部、食品安全・栄養学、名誉教授