GMO Answers

質問

質問者 T Joe (カンザス州、“Midlenowhere”) 

遺伝子組み換え(GMO)トウモロコシやダイズは、グリホサートが散布されると、どのように代謝あるいは処理するのでしょうか?植物体内でグリホサートが分解されないとすると、植物のどの部分に蓄積するのでしょうか?

回答

植物に除草剤耐性を持たせる方法は、主に二通りあります。一つは、除草剤の標的部位を改変したタンパク質を産生する遺伝子を挿入する方法で、この場合、除草剤にさらされても植物の機能には影響がありません。作物に耐性をもたせるもう一つの方法は、除草剤を代謝する酵素を産生する遺伝子を挿入する方法で、この場合、除草剤は植物体内で急速に無毒化され、除草剤としての活性が失われます。

グリホサート耐性のトウモロコシやダイズは、最初の方法を利用しています。グリホサートは、5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)と呼ばれる酵素を抑制します。EPSPS酵素は、芳香族アミノ酸の生合成経路に係っており、植物や微生物には存在しますが、動物には存在しません。グリホサート耐性トウモロコシやダイズには微生物由来の型のEPSPSが含まれており、これはグリホサートにさらされても機能することができます。これらの植物におけるグリホサートの代謝の仕方は、従来のトウモロコシやダイズと比べても違いはありません。

ほとんどの植物の場合、グリホサートの(植物体内での)代謝はごくわずかです。一部は分解され、アミノメチルホスホン酸(AMPA)に変りますが、グリホサートの大部分はそのまま残ります。これはグリホサート耐性トウモロコシの場合に当てはまります。一方、ダイズは(従来型及びグリホサート耐性共に)生来、グリホサートをAMPAに代謝する能力に優れています。従って、グリホサート耐性トウモロコシ作物の残留農薬は主にグリホサートですが、グリホサート耐性ダイズ作物の残留農薬はグリホサートとAMPAの混合物です。

グリホサートを含む除草剤は、グリホサートが葉の表面から吸収されるように作られており、そこから雑草の体内に浸透します。植物に吸収されたグリホサートは、植物体内の他の部分、特に活発な生長組織へと運ばれます。グリホサート除草剤が効果的であるのは、このように根の部分を含めた植物全体の生長を抑制することができるからです。

グリホサート耐性トウモロコシやダイズ植物のどの部位にどれくらいグリホサートやAMPAが残留するかは、圃場の雑草防除にグリホサートが散布される際に、トウモロコシやダイズがどのような生育段階にあるかによって異なります。一般的には、グリホサート除草剤の散布は、植えつけ時期から、種子や穀粒が形成される前までの栄養生長の期間に行われます。グリホサートの大部分は、特に早い段階で散布されると、植物の葉の部分に留まります。一部は植物の生長と共に種子や穀粒にも移行します。収穫の少し前に、シーズン後半の雑草を防除するために、グリホサートが散布されることもあります。その頃にはトウモロコシやダイズは殆ど生長を終えているため、グリホサートは主に植物の表面に留まります。この段階では、トウモロコシの穀粒やダイズの種子はもみ殻やさやで覆われているため、散布液は(穀粒や種子に)かかりにくくなります。とは言え、時には少量のグリホサートが穀粒や種子に達することもあります。

グリホサート耐性トウモロコシやダイズを使った全ての食品や飼料(トウモロコシの飼い葉や穀粒、茎草;ダイズの飼い葉やまぐさ、種子)に含まれるグリホサートとAMPAの残留基準値は、除草剤のラベルで認められた最大の散布量を施用した圃場試験を通じて決められています。また、これらの使用許可に先立ち、環境保護庁(EPA)による審査が行われています。EPAは、これらの用途のみならず、その他の作物にグリホサートが使用された場合も含めて、グリホサートの推定摂取量は、安全な使用のために設定された総許容摂取量を十分に下回るものと判断しています。

回答者 マリアン・ブリーク

回答者

マリアン・ブリーク

Marian Bleeke

モンサント社、消長・代謝プラットフォーム、リード

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