GMO Answers
質問
GMOは安全ではないとする独立科学者たちは、なぜ組織ぐるみで脅迫され、不信の目を向けられるのでしょうか?
回答
これは重要な質問です。私はバイテクを理解し推進する立場の一独立科学者ですが、脅迫されたり、不信の目を向けられたりすることが、どのようなものか知っています。それは、私が関わる分野でも問題になったからという訳ではありません(後ほど説明します)。
私たちが科学研究を行う際には、研究報告は、様々なジャーナルを通して発表されます。研究報告は、その研究分野に照らして、注意深く分析され、批評され、そして議論されます。意地悪な言い合いになる場合もありますが、大抵の場合は、前向きな議論が行われます。
では「組織的に」脅迫され、不信の目を向けられるとはどういうことでしょう?組織的な反応は、研究結果が極めて疑わしい場合に、往々にして見られます。そのような反応は、陰謀や組織的な運動ではありません。科学者たちは、科学が操作された可能性がある場合や誇張されて発表されたような場合、例えば、不正や虚偽の、あるいは極めて疑わしい記述がみられると判断した場合には、組織的な反応が起こります。
脅迫? 科学者たちは、脅迫するようなことは殆どしません。怪しい仕事に関わったような研究者たちは、時として、学術上の不正行為に対し所属の学会や組織から告発をうけることがありますが、多くの場合、彼らは科学的に不適切と見做され、影の薄い存在になって行きます。彼らのがらくたな研究は、誰も信じなくなります。但し、偽りの科学に騙された一部の信者たちを除けばですが・・・。アンドリュー・ウェークフィールド(Andrew Wakefield)の研究報告「ワクチンが自閉症を引き起こす」を、未だに積極的に擁護する人々もいるのですから(本研究報告は撤回されているにも関わらず)。
反GMOの世界は、ごく少数の(本当に数えるくらいの)科学者によって支配されています。彼らには、彼らを賞賛してやまない信奉者たちがついています。彼らは、他の科学者からは信用されておらず、優れた仕事を見分ける基準でもある一流雑誌には、研究報告を掲載しないのです。
では、GMOは安全ではないと主張する数少ない「独立した」科学者たちに注目してみましょう。GMOに懸念を示す急先鋒は、必ずしも「独立した」科学者であるとは思えませんが、GEセラリーニ氏でしょう。彼は、米国や欧州の反GMO運動における人気者で、反バイテクの立場で多くの著作を出版するとともに、頻繁に講演を行っています。彼の活動には、グリンピースや欧州の小売グループである「Auchan」が資金援助を行っています。彼は、CRIIGEN(遺伝子組み換えの研究と独立した情報の委員会)という組織を作っており、ここには、バイテクを嫌う様々な産業の有名人が名を連ねた科学評議会があります。
彼は、最も先鋭的な反GMO報告を発表しており、とても「独立した」科学者とはいえません。しかしながら、知的一貫性を保つために、彼の仕事には潜在的な利害の対立はないものと想定しましょう。どうあれ、科学は資金の提供者から影響を受けるべきではありませんし、普通は受けないものです。
科学の美点は、自己管理と自己修正にあります。研究報告が発表されると、その報告は科学界全体の精査をうけることになります。2012年9月に、あの有名な腫瘍ネズミの研究報告が発表された時、科学界はその報告を注意深く調べ、信じ難い問題点があることを発見したのです。私たちは口をそろえて「どうしてこの&$#@&が発行に至ったのか」と聞きました。私は、報告書の図3に三匹の腫瘍だらけのネズミの写真が載せられていることを問題にしました。この虐待された動物の写真は、恐怖心を呼び起こすことを狙って意図的に載せられていたからです。なぜそう言えるかといえば、通常のネズミ用の餌を食べた対照区のネズミにも腫瘍が出ていたにも関わらず、そのような写真は、都合よく省いていたからなのです(表2)。
科学界はこの研究報告を、適切に、批評しました。攻撃ではなく、批評なのです。そのような批評は、私たち科学者の発見に継続的な分析を促し、科学の進歩をもたらすのです。
将来、もし独立した別の研究グループが、これらの研究結果を追試して同じ結論を出したとしたら、最後にはセラリーニ氏が笑い、ノーベル科学賞を受けることになるでしょう。残念ながら、僅少なサンプル数、あいまいな対照群や寛大すぎる解釈、さらに結果を裏付ける過程の欠如、そして他のすべての研究報告との整合性の無さなどを考えれば、CRIIGEN研究チームから、腫瘍だらけのネズミの報告が更に出るとは思えません。
以上、長々と説明しましたが、答えは簡単です。すなわち、科学界は偉大なフィルターの役割を担っているのです。一般の人々はそうではありません。科学界のコンセンサスに目を向けてください。また、20年間にわたる優れた安全性の記録を覆そうとするような発見に対しては、厳しい監視の目が向けられる傾向があることについても、ご理解ください。
回答者 ケビン・フォルタ回答者
ケビン・フォルタ
Kevin Folta
フロリダ大学、園芸学科、教授兼学科長