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遺伝子組み換え作物、EU・フランスの長期動物試験で安全性を再確認~セラリーニ試験の反証としても注目

遺伝子組み換え作物については、科学的にその安全性が確認されているものの、安全性を懸念する声は根強くあります。危険だと主張する根拠の1つとして日本でもいまだに多く登場するのが、2012年に発表され翌年撤回されたフランスの生物学者セラリーニ氏のラットによる動物試験[1]ですが、このたびその反証ともなる、EU・フランスでの長期動物試験の結果が公表され、遺伝子組み換え作物の安全性が改めて確認されました。

今回の試験は、EU主導のGRACE[2]、G-TwYST[3]、フランス主導のGMO90+[4]という、複数の大規模な公的研究プロジェクトとして実施されました()。中立の立場で遺伝子組み換え作物の安全性評価手法の科学的妥当性について見直すことが狙いで、試験手法の不備が指摘され論文撤回となりながら、いまだに一定の影響力を持つセラリーニ氏による試験を改めて検証する材料としても注目されていました。結果、3ついずれのプロジェクトでも「遺伝子組み換え作物の摂取に起因する健康へのリスクは一切認められない」との結論が得られました。

セラリーニ試験では、遺伝子組み換えトウモロコシNK603(除草剤耐性)をラットに2年間与えたところ、「がんの発生や死亡率増加が確認された」と報告されました。しかし、1群のラットの数が10匹と少なすぎる、非組み換えトウモロコシを与えた対照群が1群しかない、がんが自然発生しやすいラットを用いているなど、国際機関で定める試験設計のガイドラインから逸脱しており、科学的に意味のある結論が得られるものではないとして、発表直後から世界中の科学者から批判が殺到し、2013年には論文そのものが撤回されました。

しかし、遺伝子組み換え作物に反対する立場からは、異を唱えるのであれば2年間の再試験を実施すべきだという主張が多くありました。今回の3プロジェクトで実施された試験はいずれもOECDおよびEFSAのガイドラインに沿った設計で、中でもG-TwYSTは、セラリーニ試験と同じくNK603を使用した2年間の長期動物試験を実施しており[5]、これによって遺伝子組み換え作物の長期摂取による安全性が改めて確認されることとなりました。

GRACE、G-TwYST、GMO90+の各実験内容とポイントは、当ウェブサイト「安全性についての誤解」のページで後日紹介する予定です。

[1] Seralini et al. (2012). Long term toxicity of a Roundup herbicide and a Roundup-tolerant genetically modified maize. Food and Chemical Toxicology 50 (11): 4221-31. (撤回済み) https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691512005637
[2] GRACE http://www.grace-fp7.eu/en/home
[3] G-TwYST https://www.g-twyst.eu/
[4] GMO90+ http://recherche-riskogm.fr/en/page/gmo90plus
[5] Steinberg et al. (2019). Lack of adverse effects in subchronic and chronic toxicity/carcinogenicity studies on the glyphosate-resistant genetically modified maize NK603 in Wistar Han RCC rats. Archives of Toxicology. https://doi.org/10.1007/s00204-019-02400-1. (要旨和訳:PDF)

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