バイテク資料室 - 用語集

Bt(びーてぃー)

学名Bacillus thuringensisという名の土壌中に生息する、害虫の天敵となる細菌で頭文字から、Btと呼ばれている。この微生物を製剤にしたBt剤は農薬として使用されている。また、Bt剤の有効成分(Btタンパク質)の遺伝子を導入・発現させた作物が害虫抵抗性作物として米国を中心に栽培されている。

CODEX(コーデックス委員会)

国連食品規格委員会のこと。1962年に発足し、食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品規格計画を遂行し、国際的に合意された食品の規格基準類を設定する。消費者の健康確保、公正な食品貿易の確保、国際間の食品貿易の促進を目的としている。

DNA(でぃーえぬえー)

デオキシリボ核酸(deoxyribonucleicacid)の略称。遺伝子の本体。デオキシリボースという糖とリン酸、塩基が結合してできたヌクレオチドが連なった鎖状重合体である。塩基としてアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の他少量のメチル化塩基が含まれる。細胞内では2本のDNA鎖が塩基間の水素結合(AとT、CとG)によって二重らせん構造を形成している。現在では、組換えDNA実験技術とDNA塩基配列決定法により、DNA上の遺伝情報が具体的な塩基配列として把握されている。

ELISA法(えらいさほう)

enzyme-linked immunosorbent assay の略称。抗原ないしは抗体に酵素を共有結合させたものを利用して、抗体ないしは抗原が存在するかどうかまたその量を酵素活性を利用して検出する方法。

EPA(環境保護庁)

米国環境保護庁。Environmental Protection Agencyの略。

FAO(国連食糧農業機関)

Food and Agriculture Organization of the United Nations。旧国際連盟の万国農業協会を引き継いで1945年に設立された。農作物の加工・流通の改善・農民の生活と栄養水準の向上・飢餓をなくすことを目標としている。

FDA(食品医薬品局)

米国の食品医薬品局。Food and Drug Administration。

IP Handling(あいぴーはんどりんぐ)

分別流通(Identity Preserved Handling)の略称。遺伝子組換え作物の場合は、生産から食品の製造までの全ての段階で非遺伝子組換え作物に遺伝子組換え作物が混入しないよう施設のクリーニングや機器の専用化など分別管理がなされ、証明されることをいう。

IRM(いんせくとれじすたんすまねーじめんと)

害虫防除に一つの殺虫剤のみを使用していると、その殺虫剤が徐々に効力を失うことがある。これは、害虫が殺虫剤に対して抵抗性を獲得したために起きる。このような殺虫剤への抵抗性を発達させないための方法がIRMである。IRMは米国環境保護庁(EPA)によって、害虫に強い農作物を栽培する際には実施するよう義務づけられ、作用性の異なる殺虫剤を順番に使う(ローテーション)、又は殺虫剤と共に栽培方法での防除、耕種的防除法を組み合わせる等の方法がとられている。遺伝子組換え農作物を栽培する場合は、畑の中や周囲に非組換え農作物を栽培する「緩衝地帯」を設ける、又はローテーションするなどの方法がある。

JAS法(じゃすほう)

正式には「農林物資の規格化および品質表示の適性化に関する法律」という。日本農林規格(Japanese Agricultural Standards)つまり加工食品などの品質規格や表示を決める法律。2001年4月1日から遺伝子組換え作物の表示もJAS法の適用を受けている。

OECD(経済協力開発機構)

1961年に、欧州経済協力機構(OEEC)を改組した形で発足した経済協力開発機構は、加盟30ヶ国の政府間機関。1964年には日本も加盟した。その目的は、世界経済の発展、貿易拡大、加盟国の協力による経済発展の途上にある国々の経済発展への貢献。

PCR法(ぴーしーあーるほう)

Polymerase Chain Reaction法の略。ポリメラーゼ連鎖反応法ともいう。1986年に開発された。DNAを複製する酵素(耐熱性のDNAポリメラーゼ)を利用して特定のDNA領域を短時間で10万倍から100万倍にまで増幅できるという画期的な技術。遺伝子工学やDNA鑑定などで重要な役割を果たしている。遺伝子組換え食品中に残存する、組み込まれた遺伝子を検出するためにも利用される。

RNA(あーるえぬえー)

リボ核酸(ribonucleicacid)の略。ヌクレオチド中の糖成分がリボースからなる核酸。最初酵母から単離、精製された。ヌクレオチドが鎖状に重合したポリヌクレオチド塩基成分は主としてアデニン(A)・グアニン(G)・シトシン(C)・ウラシル(U:DNA塩基成分であるチミン(T)の代わりに存在する)の4種。細胞細胞質に存在する。タンパク質生合成の場となるリボソームRNA(rRNA)、DNA上の遺伝情報が転写されたタンパク質生合成の設計図となるメッセンジャーRNA(mRNA)やタンパク質生合成するときにアミノ酸を運搬するトランスファーRNA(tRNA)などがある。稀にトランスファーRNAには特殊な塩基が存在する場合がある。

WHO(世界保健機関)

1948年に設立された保健衛生分野の専門機関。「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的としている。World Health Organization。

WTO(世界貿易機関)

1995年に「関税と貿易に関する一般協定」(ガット)の後身として設立された、国家間貿易についての世界的なルールを扱う唯一の国際機関。貿易が可能な限り円滑に、予測可能に、自由に行われることを確保することを目的としている。World Trade Organization。

亜急性毒性試験(あきゅうせいどくせいしけん)

ある物質を約1?3か月繰り返し与えた時に、どのような影響(毒性)が生じるかを動物実験で調べる試験。

アグロバクテリウム法(あぐろばくてりうむほう)

土壌細菌のアグロバクテリウムを利用した遺伝子導入方法。アグロバクテリウムは細菌自身が持つプラスミド(外にある環状DNA)の一部を植物細胞に入れ、その細胞DNAを組換える働きを持つ。この性質を利用して、改良したい植物に目的遺伝子を組み込み、遺伝子が導入できる。植物の細胞遺伝子を組み込むときに最も広く使われているのが、アグロバクテリウム法です。この手法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)という特別な細菌のはたらきを応用したものです。 アグロバクテリウムは土壌中にいる細菌で、植物に感染すると、感染した植物の根元にクラウンゴールと呼ばれるこぶを形成します。このとき、アグロバクテリウムの持つプラスミドDNAの一部(T-DNAと呼ばれる領域)が切り離され、感染した植物ゲノムのなかに組み込まれるという現象が起こっています。 T-DNAには、アグロバクテリウムの成長に必要な特殊なアミノ酸の合成遺伝子と、クラウンゴールを形成させる植物ホルモンを合成する遺伝子が含まれています。T-DNAが植物ゲノムに組み込まれると、この遺伝情報に基づいて、アミノ酸植物ホルモンが合成されるのです。 合成された植物ホルモンの作用で、クラウンゴールが形成されます。アグロバクテリウムは、合成されたアミノ酸を利用して、クラウンゴール内で生育することができます。 このT-DNAが植物細胞の染色体に組み込まれることに注目し、1982年に初めてアグロバクテリウムを使って植物に遺伝子を組み込むことが可能になりました。 アグロバクテリウム法では、T-DNA内の特殊なアミノ酸の合成遺伝子及びクラウンゴール形成に関与する植物ホルモン合成遺伝子は除去されて、目的の遺伝子のみが導入されるようになっています。 また、当初は応用できる植物が限られていて、単子葉植物には応用しにくかったのですが、現在はイネなどへもアグロバクテリウム法で遺伝子を組み込むことができるようになりました。

アミノ酸(あみのさん)

タンパク質の構成単位となる物質で、炭素、酸素、窒素、水素および硫黄の5元素を素材とする。一般のタンパク質を構成するものは20種類ある。(ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、グリシン、ヒスチジン、メチオニン、チロシン、アラニン、システイン、シスチン)

(食品)アレルギー((しょくひん)あれるぎー)

食品の接取によって起きるアレルギー反応。一般にアレルギー反応とは、体内に入ってきた異物(抗原)が抗原抗体反応により、過敏な反応が現れることをいう。食物アレルギーの場合は食後数分で症状が現れることが多く、ひどい場合には死に至ることもある。

アレルゲン(あれるげん)

アレルギー患者に対してアレルギー反応を誘発する抗原物質のこと。花粉や塵、等が代表的なアレルゲンアレルゲンを持つ食品は小麦、そば、卵、乳、落花生、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛乳、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン等がある。食品中のアレルゲンタンパク質である場合がほとんどである。

アワノメイガ

アンチセンスRNA(あんちせんすあーるえぬえー)

mRNAなどに対して相補的な塩基配列を持つRNAの総称。mRNA分子に対して相補的塩基配列を持つRNAは、分子間結合を介してRNAの機能発現に阻害的に作用する。フレーバーセーバートマトはこの技術を用いて作られた。

アントシアン(あんとしあん)

赤・青・紫・紫黒色などを呈する花や果実の色。赤キャベツなどの色の原因になる一群の植物性色素の総称。ヤグルマギクの青色花から由来して命名された。

育種(いくしゅ)

有用生物の遺伝的な性質を改良すること。多くの場合、既存の品種の不都合な形質を改良していくことから、品種改良とも呼ばれる。選抜や系統育種だけでなく原種の管理も育種操作には含まれる。現在の主な方法は交雑育種法だが、最近のバイオテクノロジー技術の発展から、遺伝子組換え技術などを用いた育種も盛んに行われている。

一遺伝子一酵素説(いちいでんしいちこうそせつ)

一つの遺伝子はただ一種の酵素の生成に関与し、その特異性を支配し、表現型に影響をおよぼすとする説。G.W.ビードルとE.L.テータムらによるアカパンカビを用いた実験から、1945年にビードルがこれらの結果をまとめ、一遺伝子一酵素説と名づけた。この仮説はその後正しいことが証明されたが、例外もあることがわかっている。

遺伝(いでん)

親の形質が子やそれ以後の世代に現れる現象。遺伝子の伝授の現象をさし、基本的には個体の世代だけでなく、細胞を単位として考えた場合、細胞の世代についてもあてはめられる。

遺伝子(いでんし)

遺伝子メンデルの法則によって遺伝情報を担う機能的単位として提唱された。その本体はほとんどはDNAだが、RNAである場合もある。DNAを構成する塩基配列(アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4種類の塩基の並び方)にはタンパク質等を作り出すための情報がのっている。

遺伝子クローン(いでんしくろーん)

単一の遺伝子を、組換えDNA実験などによって増殖させて得られる均一な遺伝子集団。

遺伝子工学(いでんしこうがく)

組換えDNA実験やDNAクローニングなどの遺伝子操作技術を利用する学問分野。1970年以降、分子遺伝学の発展、特に組換えDNA実験技術の開発を契機に、ウイルスや微生物や高等動植物からも多数の遺伝子が単離され、その構造や機能を解析する研究が盛んに行われるようになった。これらの技術は、遺伝子産物の工業生産や生物育種などの実用と結びついた応用研究に至るまで広範な範囲での画期的な進展をもたらすこととなった。

インスリン(いんすりん)

脊椎動物の脾臓から分泌されるホルモンで、組織でのグルコースの取り込み、酸化やグリコーゲン・脂肪への転換を促進し血糖を低下させる。また、アミノ酸細胞への取り込みを高め、タンパク質性合成を促進する、糖尿病の治療に用いられる。

インセクト・レジスタンス・マネージメント(IRM)(いんせくとれじすたんすまねーじめんと)

害虫防除に一つの殺虫剤のみを使用していると、その殺虫剤が徐々に効力を失うことがある。これは、害虫が殺虫剤に対して抵抗性を獲得したために起きる。このような殺虫剤への抵抗性を発達させないための方法がIRMである。IRMは米国環境保護庁(EPA)によって、害虫に強い農作物を栽培する際には実施するよう義務づけられ、作用性の異なる殺虫剤を順番に使う(ローテーション)、又は殺虫剤と共に栽培方法での防除、耕種的防除法を組み合わせる等の方法がとられている。遺伝子組換え農作物を栽培する場合は、畑の中や周囲に非組換え農作物を栽培する「緩衝地帯」を設ける、又はローテーションするなどの方法がある。

インターフェロン(いんたーふぇろん)

ウイルス感染に際して、動物細胞が産生するタンパク質の総称。細胞の状態を変えることにより、ウイルスの増殖を阻止する機能を持つ。遺伝子工学の技術によって工業的生産が可能になり、ウイルス肝炎などの臨床薬として用いられている。

ウイルス(ういるす)

DNARNAのどちらかをゲノムとして持つ、感染細胞内だけで増殖する感染性の微小構造体。1957年にA.M.ルウォフらが以下のように定義している。
?核酸としてDNARNAのどちらかを持つ
?遺伝物質だけから複製される
?ニ分裂で増殖しない
?エネルギー産生系を欠く
?宿主のリボソームをタンパク質合成に利用する これらのことから一般に生物とは別の扱いをされる。

エレクトロポレーション法(えれくとろぽれーしょんほう)

導入したいDNA断片を含む緩衝液中にプロトプラストを入れ、短時間の電気刺激(電気パルス)を与えることによって、細胞遺伝子を導入する方法。

塩基配列(えんきはいれつ)

DNA分子上における塩基の並び方のこと。

オレイン酸(おれいんさん)

炭素数18の二重結合を一つ持つ不飽和脂肪酸。ほとんど全ての油脂に含まれている、主要な脂肪酸成分。特にオリーブ油、サザンカ油、ツバキ油等に多く含まれている。血中の悪玉コレステロールを低減させる効果があるといわれており、健康食品としての注目も集めている。

害虫抵抗性(がいちゅうていこうせい)

害虫に強い性質のこと。遺伝子組換え農作物では、Btトウモロコシなどがその例。害虫の天敵微生物(バチルス・チューリンゲンシス、Bt)から特定の昆虫のみを殺すタンパク質、例えばBtタンパク質を作る遺伝子を取り出して、導入することによって作られている。導入するタンパク質は特定の種類の昆虫だけに殺虫力を示すので、それ以外の生物に影響をおよぼすことはない。また、通常の育種においても、ネコブセンチュウに対して抵抗性を持つトマトなど様々な害虫抵抗性の品種がある。

核(かく)

動物、植物や菌類等の真生物の細胞にある球形の小体を示す。膜に包まれ、内部に遺伝情報を持つ、染色体を含んでいる。一般には、1細胞に1個ある。

核酸(かくさん)

塩基、糖、リン酸が結合したヌクレオチドが連なった高分子の物質。に多く存在する酸性物質ということから核酸と名づけられた。糖がデオキシリボースであればDNA、リボースであればRNAに大きく分けられる。

隔離圃場(かくりほじょう)

隔離圃場は、農林水産省が定める「遺伝子組換え体の利用指針」に基づき、組換え作物の環境に対する安全性評価試験を行うための施設で、周囲をフェンスで囲み、焼却炉、洗い場を備えた小規模で柵など他の場所と隔てられた農場をいう。導入遺伝子の発現、周囲の生物への影響、花粉の飛散による環境への影響などを調べる。

カルス(かるす)

植物体の一部を切り取り、オーキシンやサイトカイニン等の植物ホルモンを含む培地上で培養した時に形成される無定形の細胞隗を示す。植物体のあらゆる部分からカルスを形成させることができ、適当な条件下では無限にカルスの状態で成長を続ける。しかしある条件下で培養すれば、組織分化や不定芽、不定根が形成される。

環境保護庁(EPA)(かんきょうほごちょう(いーぴーえー))

米国環境保護庁。Environmental Protection Agencyの略。

環境保全型農業(かんきょうほぜんがたのうぎょう)

農薬や化学肥料の利用による環境負荷を減らし、生産性・収益性も考慮した持続可能な農業のことをいう。農林水産省では「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」と定義している。

環状DNA(かんじょうでぃーえぬえー)

DNA鎖の端が結合して環状になったDNA。ほとんどの原生物の染色体DNAプラスミドなどのDNAは一般的に環状DNA

キモシン(きもしん)

古くからチーズを製造する過程で牛乳を凝固させるために用いられてきた酵素。若い反芻類の胃液中に存在するアスパラギン酸プロテアーゼの一つ。ペプシンと同様の作用を持っているが、それよりも凝乳作用がはるかに強く、特に牛の胃から抽出した凝乳酵素剤はレンネットと呼ばれる。

急性毒性試験(きゅうせいどくせいしけん)

マウスやラット等の実験動物にある物質を1回投与し、14日間観察して致死率などの毒性を調べる実験のことをいう。実際に投与した際に死亡率が50%になる用量を求めるものでLD50(半数致死量)又はLC50(半数致死濃度)で判断される。LD50が小さいほど毒性が強いことになる。

クローン(くろーん)

個体を指す場合、細胞を指す場合、遺伝子を指す場合の3通りがあるが、いずれも同じ1個の起源のコピーであるような、遺伝子型が均一の無性的な生殖によって生じた生物的集団を意味する。遺伝子の場合は、組換えDNA実験の開発によりクローン化が可能となり、遺伝子構造解析やその他多方面の研究に広く活用されている。

経済協力開発機構(OECD)(けいざいきょうりょくかいはつきこう)

1961年に、欧州経済協力機構(OEEC)を改組した形で発足した経済協力開発機構は、加盟30ヶ国の政府間機関。1964年には日本も加盟した。その目的は、世界経済の発展、貿易拡大、加盟国の協力による経済発展の途上にある国々の経済発展への貢献。

形質転換(けいしつてんかん)

プラスミドやそれに結合した遺伝子なども含め、DNA分子を細胞に導入し、起こす遺伝現象のことをいう。遺伝子工学の基本技術の一つ。グリフィスが肺炎双球菌で、ある株の性質が他の株にうつる、この現象を発見し、遺伝子DNAであることを証明するさきがけとなった。

ゲノム(げのむ)

生物の調和のとれた生活機能を保つ上で欠かすことのできない染色体の一組のこと。細胞には母親由来の一組の染色体と父親由来の一組の染色体が対になって存在する。この対を構成する半数がゲノムと呼ばれ、それぞれが単一のDNAの巨大分子。種を規定する遺伝情報は全てこの中におさめられている。

コーデックス委員会(こーでっくすいいんかい)

国連食品規格委員会のこと。1962年に発足し、食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品規格計画を遂行し、国際的に合意された食品の規格基準類を設定する。消費者の健康確保、公正な食品貿易の確保、国際間の食品貿易の促進を目的としている。

交雑(こうざつ)

雑種が形成される遺伝的組成の異なる2個体の交配のこと。狭義には、着目する遺伝子およびその対立遺伝子をそれぞれホモに持つ2個体間の交配をいう。

抗生物質(こうせいぶっしつ)

他の細胞や微生物の発育又は機能を阻止する物質の総称。ペニシリン、ストレプトマイシンといった微生物由来のものだけでなく、抗癌抗生物質やコレステロール合成阻害剤等など動植物が作る物質や化学修飾した物質も抗生物質と呼ばれることがある。医薬品や食品保存薬などとして利用されている。

酵素(こうそ)

細胞内で作られるタンパク性の生体触媒。酵素によって触媒される化学反応を酵素反応というが、生体内の化学反応はほとんど全てが酵素反応で、物質代謝は全て酵素系に依存している。多くの酵素でビタミン類などの補酵素を必要とする。酵素は通常の触媒と比べて特異性が高く、温和な条件下で強力に作用する。

交配(こうはい)

2個体間で受粉あるいは接合、受精を行うこと。交雑と同義で用いられる。

国連食糧農業機関(FAO)(こくれんしょくりょうのうぎょうきかん)

Food and Agriculture Organization of the United Nations。旧国際連盟の万国農業協会を引き継いで1945年に設立された。農作物の加工・流通の改善・農民の生活と栄養水準の向上・飢餓をなくすことを目標としている。

コドン(こどん)

遺伝暗号の単位。核酸を構成している4種類の塩基のうち、3個の配列が単位となって、それぞれのアミノ酸に対応している(トリプレット暗号)。64通りの組み合わせが可能だが、そのうち61通りがアミノ酸コドン、残りの3通りが終止コドンとなっている。

細胞(さいぼう)

生物体を構成する単位。細胞膜に囲まれ、原則的には内部に1個のを持つ生体の構造的かつ機能的単位。形や大きさは生物の種類や組織によって異なる。R.フックが最初に”Micrographia”で記載した。

細胞培養(さいぼうばいよう)

組織培養の一方法で、動植物の器官・組織片を物理的あるいは化学的に処理して細胞に解離して、これをガラスあるいはプラスチックの器内で無菌的に培養する方法。

細胞融合(さいぼうゆうごう)

隣接する細胞が融合して細胞の多化が起きること。自然界では精子と卵子によって細胞が合体し、単一の細胞膜で包まれて細胞質やが混ざりあった一つの細胞になる。バイオテクノロジーでは、交配不可能な生物種間の雑種を細胞融合によって作ることができる。

雑草性(ざっそうせい)

一般には、代表的な雑草の持つ特性で、種子に休眠性があることや、発芽が不均一であることなど。遺伝子組換え農作物については、組換え農作物の環境影響評価する際の確認項目の一つで、雑草化の前例の有無、種子特性、個体再生に必要とする組織、器官が調査される。

自家受粉(じかじゅふん)

一つの植物の花粉がその同じ個体上のめしべについて受粉する現象。同一株の異なる花の間で受粉が行われる場合を他家受粉といって区別することがある。

実質的同等性(じっしつてきどうとうせい)

OECDによって提唱された「これまで食べてきた経験のある現在の作物・食品を基準にして、遺伝子組換え作物の安全性を評価する」という基本概念のこと。現在までの食経験をもとに相対的に遺伝子組換え食品を評価する。

受粉(じゅふん)

自然状態で被子植物の花粉がめしべの先端に、裸子植物の花粉が胚珠に付着する現象。人工的に花粉をめしべにつけることは授粉という。

消化酵素(しょうかこうそ)

消化に関与する酵素の総称。消化酵素の作用は一般に加水分解で、消化腺から分泌されるものと、細胞内消化に関与するものとがある。

食品医薬品局(FDA)(しょくひんいやくひんきょく)

米国の食品医薬品局。Food and Drug Administration。

食品衛生法(しょくひんえいせいほう)

飲食が原因となる衛生上の危害発生を防止し、公衆衛生の向上および増進に寄与することを目的とする法律。

植物ホルモン(しょくぶつほるもん)

高等植物の体内で生産され、形成された場所から離れた他の場所へ移動して成長その他の生理的機能を微量で支配する有機化合物。オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、アブシジン酸、エチレンがある。

除草剤耐性(じょそうざいたいせい)

除草剤の影響を受けない性質のこと。この性質を持つ農作物には、特定の除草剤の影響を防ぐタンパク質を作る遺伝子が導入されているため、除草剤を散布しても枯れない。

制限酵素(せいげんこうそ)

DNAの特定な塩基配列を識別して2本鎖を切断する酵素。種々の細菌類から特異性の異なった酵素が純化されており、遺伝子工学で頻繁に使用されている

生殖試験(せいしょくしけん)

「催奇形性試験」と「繁殖毒性試験」がある。実験動物を用いて、ある物質を妊娠中の母動物に与え胎児への影響を見たり、ある物質を2世代にわたって与え次世代への影響を見る。

生物多様性条約(せいぶつたようせいじょうやく)

1992年5月に生物の多様性を保全するために制定された条約。2000年の生物多様性条約特別締結国会議で遺伝子組換え生物の輸出入に必要な手続きを定めた「バイオ安全議定書」が採決された。

生物農薬(せいぶつのうやく)

農作物の病害虫や雑草などの生態的防除を行うために、防除すべき対象生物の天敵にあたる生物をそのまま利用する農薬。

生分解性プラスチック(せいぶんかいせいぷらすちっく)

使用中は通常のプラスチックとして使用でき、自然界に放出すると微生物の働きによって最終的に炭酸ガスと水に分解されるプラスチックのこと。医療材料、農業・園芸材料、食品関係にも応用されている。現在開発されているものは、化学合成によるもの、微生物が体内に蓄積する物質を利用したもの、でんぷんなど多糖類を使用するものなど。

世界貿易機関(WTO)(せかいぼうえききかん)

1995年に「関税と貿易に関する一般協定」(ガット)の後身として設立された、国家間貿易についての世界的なルールを扱う唯一の国際機関。貿易が可能な限り円滑に、予測可能に、自由に行われることを確保することを目的としている。World Trade Organization。

世界保健機関(WHO)(せかいほけんきかん)

1948年に設立された保健衛生分野の専門機関。「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的としている。World Health Organization。

染色体(せんしょくたい)

動植物細胞の有糸分裂の際に観察される、塩基性色素で濃く染まる棒状の構造体。DNAとタンパクからなる染色糸が分裂時に凝縮してできる。遺伝子の担い手となる物質で、一般に細胞は複数の染色体を持つが、その数や大きさ、形は生物種により異なる。

セントラルドグマ(せんとらるどぐま)

核酸タンパク質の生合成過程で、遺伝情報の流れは一方向であり、いったん情報がコード化されタンパク質に転換すると、その遺伝情報は再度核酸塩基配列を構築することはないという生物則。

組織培養(そしきばいよう)

細胞生物の個体から無菌的に組織片・細胞群を取り出し、適当な条件において生かしつづける技術。動物の組織では薬物の効果を研究したり、ワクチンの製造などに使用されている。植物では、組織の一部からでも完全な植物体を再生する機能が備わっているため、培養中に細胞に生じた突然変異の中から有用な性質を持ったものを選びだし、品種改良などに用いている。また、植物が生産する抗がん剤などの医薬品を大量に製造することも行われている。

ターミネーター(たーみねーたー)

DNA遺伝情報をRNAに転写する際に、転写を終わらせる目印となるDNAの領域。

大腸菌(だいちょうきん)

細菌の一種。ヒトも含めてほ乳類の腸管を寄生場所としている腸内細菌。従来、健康な人の腸管に寄生し、腸管内に存在する限り病原性はない。特に大腸菌K12株(E.coli K-12)は分子生物学やバイオテクノロジーの研究材料として広く利用されてきた。

タンパク質(たんぱくしつ)

動物・植物・微生物など、生物と呼ばれるものの細胞の主成分として含まれる一群の高分子含窒素有機化合物の総称。アミノ酸によって構成されている。生細胞の構成物質として、またその生活をつかさどる活性物質(酵素など)として、生命現象に最も密接している。

低アレルゲンイネ(ていあれるげんいね)

アレルギーの原因となるタンパク質が通常のイネ(コメ)より少なく含まれるイネ(コメ)のこと。酵素分解によって作られる低アレルゲン米は機能性食品として認可されている。遺伝子組換え技術を利用した低アレルゲン米も現在開発中。

低タンパクイネ(ていたんぱくいね)

米に含まれているタンパク質のうち、最も含有量の多いグルテリンの含有量を減らした遺伝子組換えイネで、アンチセンス遺伝子を用いてグルテリンの合成を抑制している。酒の品質低下の大きな要因であるグルテリンを排除するには精米度を上げるしか方法がなく、酒造目的として低タンパクイネは開発された。1998年に農林水産省により環境に対する安全性が確認され、一般ほ場での栽培が可能になっている。

突然変異説(とつぜんへんいせつ)

ド・フリースが立てた進化学説。オオマツヨイグサを栽培して交雑実験などをするうち、同種の新種が中間形を経ずに出現するのを観察し、それが進化の重要因であるとして突然変異と呼んだ。やがてこの植物の染色体遺伝的構成はきわめて複雑なことが判明し、ド・フリースの観察には異なった説明が与えられた。

トランスポゾン(とらんすぽぞん)

転移性遺伝要素の一つ。あるDNA領域から別のDNA領域に移動する遺伝子単位のこと。そのうち特に原生物の染色体プラスミドに見出される薬剤耐性遺伝子のようなマーカー遺伝子を運んでいることがある。遺伝子の内部にこれが挿入されるとその遺伝子の不活化が起こる。

ヌクレオチド(ぬくれおちど)

糖にリン酸がエステル結合し、さらに塩基と糖が結合した化合物。DNAおよびRNAヌクレオチドが多数連なって形成されている。

稔性回復(ねんせいかいふく)

不稔性(特に雄性不稔、おしべが形成されなかったり、花粉が形成されなかったり等の理由で自家受粉できない性質)の品種に、おしべ形成や花粉形成を妨げる働きを打ち消す性質を持つ品種を交配して、自家受粉できるように品種改良すること。稔性回復性ナタネの場合、遺伝子組換えによっておしべをなくす遺伝子の働きを打ち消すようにしている。

肺炎連鎖(双球)菌(はいえんれんさ(そうきゅう)きん)

肺炎の原因となりうる細菌の一種。1928年グリフィスによって形質転換が発見され、1943年にエーブリーによる形質転換物質がDNAであるという発見に用いられた細菌。

バイオレメディエーション(ばいおれめでぃえーしょん)

環境中の有害物質を微生物の持つ分解作用によって無毒化する技術をいう。

バイオリアクター(ばいおりあくたー)

微生物や細胞培養により有用な物質を生産したり、生物が持つ酵素の特性を利用して、物質の合成や分解を行う反応装置のこと。有用物質の工業的規模での生産や特定の生体成分の微量定量による病気の診断用に用いられる。

培地(ばいち)

植物や菌などを培養する際に用いる基質で栄養物を組み合わせ、支持やその他の特殊な目的のために物質を加えた化合物。

培養(ばいよう)

微生物や動植物の卵あるいは組織の一部を栄養素等の外的条件をととのえて人工的に生活、発育、増殖させる方法。

パスダイ事件(ぱすだいじけん)

1998年に英国のテレビ番組でロウェット研究所のパスダイ博士が遺伝子組換えジャガイモをラットに食べさせたところ免疫低下が見られたと報告し、世間を騒がせた。しかし、この報告は科学誌で化学的に不十分であると掲載され、この事件は遺伝子組換え食品全体についての論争を引き起こすきっかけとなった。

発ガン性試験(はつがんせいしけん)

実験動物(マウス又はラット)を用いて、長期間(18?30ヶ月)にわたり、ある物質を繰り返し与えた時に、がんが発生するかどうかを調べる試験。

発酵(はっこう)

有機物が微生物の作用によって分解される現象。狭義では糖質が微生物によって無酸素的に分解する現象。この現象は古くから知られており、アルコール飲料、パン、その他のいわゆる醸造製品の製造に利用されてきた。アミノ酸発酵核酸発酵によってアミノ酸呈味性ヌクレオチド抗生物質なども工業的規模で生産されている。

光合成(ひかりごうせい)

植物によって光のエネルギーが生物学的に利用できる自由エネルギーへと変換されることをいう。代表的な例では光合成によって二酸化炭素と水から有機物が合成される。

品種改良(ひんしゅかいりょう)

目的にそった品種を交配や突然変異などによって作りだして、現在の品種を改良すること。

不耕起栽培(ふこうきさいばい)

農作業において耕起および砕土又は代かきを省略して播種したりする方法。アメリカでは、大豆栽培面積のおよそ30%で土壌浸食を防止するために不耕起栽培が行われている。

プライマー(ぷらいまー)

核酸が合成されるにあたって、ヌクレオチドが多数連なっていく出発点として働く特異的な配列を持つ短いヌクレオチドの重合体(オリゴヌクレオチド)。DNAの合成にはプライマーは必要だが、RNA合成には必要ではない。

プラスミド(ぷらすみど)

の中にあるDNAとは独立した状態で細胞中に存在し、自己増殖によって世代を通じて安定的に維持伝達される遺伝子の総称。DNA組換え実験で他の生物由来の遺伝子を組み込むための運び屋として広く使われている。

プロモーター(ぷろもーたー)

DNA塩基配列RNAに転写されていく段階で、転写をはじめるためにRNAポリメラーゼが特異的に結合するDNA上の領域。

変異原性試験(へんいげんせいしけん)

発ガン性を調べるための予備テストとして行われる。細胞遺伝子(DNA)や染色体の影響を調べる試験で、微生物などを用いて突然変異を起こさないかどうか調べる。必要に応じてげっ歯類や哺乳動物を用いた染色体異常を調べる試験も行う。

ほ場(圃場)(ほじょう)

農作物を栽培する田畑のこと。

ポリメラーゼ(ぽりめらーぜ)

DNARNAを合成するために働く酵素DNAの複製・修復、RNAの合成に関わる重要なもので、DNAポリメラーゼRNAポリメラーゼがある。

マーカー遺伝子(まーかーいでんし)

遺伝子組換えの際に目的とする遺伝子が導入されたかどうかを確認するための目印として一緒に組み込まれる遺伝子をいう。薬剤(カナマイシン、ハイグロマイシンなど)耐性遺伝子や除草剤耐性遺伝子が使われる。

慢性毒性(まんせいどくせい)

ある物質を長期間(1年間)繰り返し与えることによって生じる悪影響のことをいう。慢性毒性試験によって、この悪影響は調査され、同時に毒性が見られない薬量も調べられる。

メンデルの法則(めんでるのほうそく)

メンデルの提唱した遺伝現象に関する法則。一般に分離の法則、独立の法則、優劣の法則の三つがある。

葯培養(やくばいよう)

植物体のおしべの先から花粉の入った袋である葯を採取して無菌的に培養すること。特定の条件下で培養すると花粉から半数体植物にまで生育できることから、半数体植物を得るために行われる。得られた半数体植物は短期間で品種改良ができるというメリットがある。

雄性不稔(ゆうせいふねん)

雄性器官であるおしべや花粉が授粉機能を失っている現象。品種改良する上で別の株との交配が容易になるため、現在多くの作物で多数の雄性不稔系統が遺伝資源として選抜・保存されている。遺伝子組換えによっておしべが消失した雄性不稔ナタネが実用化されている。

ヨーロピアン・コーン・ボーラー(アワノメイガ)(よーろぴあんこーんぼーらー)

トウモロコシに大きな被害を与える害虫。ふ化したヨーロピアン・コーン・ボーラーは葉を食べて成長し、やがて葉のつけ根から幹に侵入する。いったん侵入すると農薬が届きにくいため、退治しにくく、そのまま雄穂を中からかじり空洞にしてしまう。さらに雌花に侵入した幼虫は生育中の実を食べてしまう。

リガーゼ(りがーぜ)

DNAリガーゼは、DNA連結酵素ともいわれる。DNAリガーゼはDNA複製の段階で断片的なヌクレオチドの連なったものを結合させる役割を持つ。また、損傷を受けたDNAの修復過程に関与していると考えられている。遺伝子組換え体を作成するのにも用いられる。

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