よくある質問 - テクノロジー編
質問
更新日:2022年11月28日
植物から作るバイオ燃料、バイオエタノールとは何ですか。
回答
バイオエタノールとは、トウモロコシなどの生物資源(バイオマス)から作られる再生可能燃料のことで、地球温暖化防止対策や、石油代替燃料として注目されています。年々高まるバイオエタノールの需要にこたえるために、遺伝子組み換え技術の貢献が期待されている分野でもあります。
バイオ燃料は今後注目のエネルギー
バイオエタノールとは植物からつくられるエタノールのことで、主にトウモロコシやサトウキビに含まれる糖を発酵させて作られます。バイオエタノールは再生可能燃料ともいわれ、石油などの化石燃料の代替燃料として脚光を浴びています。バイオエタノールを燃やすと、ガソリンと同様に二酸化炭素(CO2)が発生しますが、これは植物が成長中に吸収したCO2の再放出であり、大気中のCO2は増加しないので温室効果ガスとは見なされません。つまり、バイオエタノールを導入することで地球温暖化防止の対策になり、またガソリンの消費量を減らすため原油高の緩和効果など、経済効果も期待できます。現在、バイオエタノールを自動車用燃料として利用する取り組みは、ブラジルと米国を中心に世界各国で進められています。
トウモロコシなどの生物資源を有効利用
米国のエタノール生産では、主にトウモロコシが原料として使われています。近年では米国のトウモロコシ全体の4割がエタノール製造に用いられています。今後ますますバイオエタノールの需要は拡大することが予想されており、食品や飼料として利用するためのトウモロコシが減ることで食糧不足や価格の高騰を招くのではないかといった懸念の声を聞くこともあります。
この問題に応える手段のひとつとして期待されているのが、遺伝子組み換え技術などのバイオテクノロジーです。バイテク技術は米国のトウモロコシ生産量を増大させ、安定供給を可能にしてきましたが、今後の新たな遺伝子組み換え品種の開発によって、その生産量はさらに高まるとみられています。
また、トウモロコシの繊維部分からエタノールを製造する新たな技術の開発によって、生産効率は大幅に向上しました。これまで農業廃棄物となっていたトウモロコシの芯などからエタノールを作り、トウモロコシの実は従来どおり食料や飼料として利用するなど、一層の効率化を目指して研究が進められています 。
遺伝子組み換え技術を活用してバイオエタノールをより効率的に生産
遺伝子組み換え技術は、上記のように生産量を増加させて安定供給を可能とするだけでなく、より効率的にバイオエタノールを生産できるような原料作物を開発することも可能にします。たとえば、トウモロコシからエタノールを製造する際には、デンプンを糖に分解する酵素を加えますが、この酵素をつくる遺伝子をトウモロコシに組み込めば、トウモロコシ自身に酵素を作らせることができます。現在は微生物につくらせた酵素が利用されているため、それを抽出・精製しなければなりませんが、組換え技術が活用されれば、その手間やコストを省くことが可能になります。このトウモロコシの開発は、既に成功しており、実用化を目指したさらなる研究が進められています。
トウモロコシの用途は飼料用、食用、加工用と多岐にわたりますが、遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーの活用が、新たな燃料の開発や循環型社会の形成にもつながっていくことが期待されています。農業の果たす役割は、食料の生産にのみならず、今後はより多面的なものとなるでしょう 。
基礎編
食品・飼料編
- 日本で流通している遺伝子組み換え食品にはどのようなものがありますか 。
- 遺伝子組み換え食品の安全性は、誰がどのように確認しているのですか。
- 遺伝子組み換え作物を使った食品は、どのように表示されますか。
- 遺伝子組み換え食品を食べ続けても大丈夫ですか。
- 食べたら害虫が死んでしまうような遺伝子組み換え作物を人間や家畜が食べても平気ですか。
- アレルギーを引き起こす心配はありませんか。
- 飼料として使われる遺伝子組み換え農作物の安全性は確認されているのですか。また、遺伝子組み換え飼料で育った家畜の肉や乳、卵を食べても大丈夫ですか。
- 除草剤耐性作物の栽培に使用されるグリホサートの安全性について教えてください。
- グリホサートの発がん性について、世界の規制当局と国際がん研究機関 (IARC) で評価が異なるのはどうしてでしょうか。
環境編
- 環境に対する影響はありませんか。
- 害虫抵抗性トウモロコシを害虫以外のチョウの幼虫などが食べて死んだりしませんか。
- 害虫に強い遺伝子組み換えトウモロコシを栽培し続けると、害虫の抵抗力が増して、害虫抵抗性の効果がなくなることはありませんか。
- 除草剤の影響を受けない作物の栽培によって農薬の使用量が増えませんか。
- 除草剤の影響を受けない植物が雑草化してしまったらどうするのですか。 また、その遺伝子が雑草に移って除草剤をまいても枯れない雑草が繁殖してしまったらどうするのでしょうか。
- こぼれ落ちた遺伝子組み換え作物が日本の生物多様性に悪影響を与えることはありませんか。
- 遺伝子組み換え作物の普及によって単一栽培が進み、品種の多様性が失われてしまったり、農業や食糧が特定の企業によって支配されてしまったりすることはないでしょうか。
- 遺伝子組み換え作物を栽培することで、環境に対してどのようなメリットが期待できますか。
- 遺伝子組み換え作物の栽培では、農家は毎年種子を購入する必要があると聞きましたが本当ですか。
- 遺伝子組み換え作物との交配により除草剤の効かないスーパーウィードが出現していると聞きましたが本当ですか。
テクノロジー編
検証編
- 「遺伝子組み換えトウモロコシを2年間ラットに与えたところ、乳がんや脳下垂体異常、肝障害を発症した」という論文が発表されたと聞きましたが、本当に大丈夫ですか。
- 「遺伝子組み換えダイズを食べたラットから生まれた仔ラットの死亡率が高く、成長も遅かった」という実験結果を聞きましたが、本当でしょうか。
- 「遺伝子組み換えジャガイモをラットに食べさせる実験を行ったところ、免疫力が低下した」というのは本当ですか。
- 「遺伝子組み換え食品を食べると、抗生物質が効かなくなる」というのは本当ですか。
- 「承認されている遺伝子組み換え作物も、アレルギーの危険がある」というのは本当ですか。
- 「遺伝子組み換えダイズが含まれるハンバーガーを食べたヒトの腸内細菌から除草剤耐性菌が検出された」と聞きましたが、本当に食べ続けても大丈夫なのでしょうか。
- 「遺伝子組み換えダイズを栽培したところ、非遺伝子組み換えのものより収量が減った」という報告は本当ですか。
中高生から寄せられた質問
- 未来は遺伝子組み換え作物でどう変わっていくのですか? (2020年11月・中学生)
- 遺伝子組み換え作物を開発するうえで一番大切にしていることはなんですか? (2020年11月・中学生)
- 遺伝子組み換え作物で花粉症の症状を和らげることに成功したと聞きましたが、そのことをどのように思っていますか。他にも成功した例、今後出てきそうな例はありますか?(2020年11月・中学生)
- 遺伝子組み換え作物を食べて人間のDNAが変わってしまったり機能が失われたりすることはありますか? (2020年11月・中学生)
- 遺伝子組み換えによって、狙ったところ以外のDNA配列に影響を与えてしまう(突然変異)可能性はどのくらいありますか?(2020年11月・中学生)
- 人間の解明されている遺伝子は全体の2%だけですが、野菜・果物などはどれくらいわかっているのですか。仮にある野菜のゲノムが100%解明されたら、その野菜に行う遺伝子組み換えは安全になりますか? (2020年11月 ・中学生)
- 現在、主に遺伝子組み換え作物の中で、とうもろこし、菜種、大豆などが日本に輸入されてきていますが、これからより多くの遺伝子組み換え作物が日本に輸入されると思われますか。また、日本では遺伝子組み換え作物の栽培が進められますか。(2020年11月・高校生)
- 現在国で流通が認められている大豆やとうもろこしなどの作物以外に、これから流通するだろうと思う作物はありますか(2021年1月・高校生)
- 日本と海外では、どのくらい遺伝子組み換え技術の進歩に差がありますか。可能な限り最新の情報が欲しいです。(2021年1月・高校生)
- 遺伝子組み換え作物をつくるためにはどのくらいの時間がかかるのですか?(2020年11月・中学生)
- 除草剤耐性、害虫耐性の遺伝子組み換え作物を栽培することによって、一般のものと比べてどのくらい生産効率は上がりますか? (2022年1月・高校生)
- 遺伝子組み換えの技術を利用することにより、解決できる問題はありますか。(2020年11月・高校生)
- 私たちは遺伝子組み換え食品で飢餓や貧困は無くせるのかというテーマで調べていくうちに、この問題を遺伝子組み換え食品だけで解決するのは難しいと感じたのですが、専門の方から見てこの問題を解決することはできると思われますか。(2020年11月・高校生)
- 将来的にウイルスなどで食物が育てられなくなったときや、人口増加で食料がさらに足りなくなったときに、遺伝子組み換え作物を使用しない場合、どのような別の対策ができるでしょうか? (2020年11月・中学生)
- アフリカやスーダンなどの発展途上国の飢餓問題を、遺伝子組み換え作物を栽培することによって救えると思いますか? (2022年1月・高校生)
- 将来の食糧危機に向けて昆虫食が注目されていますが、遺伝子組み換え作物を栽培することによって、食糧危機や飢餓を救えると思いますか?(2022年1月・高校生)
- 人口増加などで食糧難になるという話もあります。その時病気などに強く栽培が簡単な遺伝子組み換え作物が作れるのなら、遺伝子組み換え食品はさらに身近になっていくのでしょうか?(2022年1月・高校生)
- ゲノム編集は国の許可が必要ではないと調べてわかったのですが、国の許可が必要である遺伝子組み換え作物とでは、どちらの方が安全ですか。(2020年11月・高校生)
- そもそもゲノム編集技術と、遺伝子組み換え技術の違いはなんですか。(2021年1月・高校生)
- 遺伝子組み換え食品の開発には莫大な予算や審査のための時間がかかりますが、ゲノム編集食品は比較的開発費用を抑えられるので、注目が集まっています。今後はゲノム編集食品開発の方が遺伝子組み換え食品開発より活発になると思いますか。(2022年1月・高校生)