よくある質問 - 基礎編
質問
更新日:2022年11月15日
遺伝子って何ですか。遺伝子を食べても平気ですか。
回答
1.遺伝子は、DNAという化学物質です。
遺伝子は、体の大きさや目の色など、生物の性質を決める“設計図”の働きをするもので、親から子へ遺伝する形で受け継がれるため「遺伝子」とよばれます。遺伝子の正体は、デオキシリボ核酸(DNA)という化学物質です。DNAは、糖とリン酸と塩基からできており、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類が存在しています。通常、DNAは数珠状に連なって鎖状になっており、2本の鎖がペアとなりいわゆる二重らせん構造を作っています。生物の細胞の中で、DNAは核という構造の中に収められています。
2.遺伝子は、タンパク質を作っています。
遺伝子の働きの秘密は、DNAの並び方にあります。A、T、G、Cの並び方に従って、作られるアミノ酸の種類が決まり、アミノ酸が順番につながって、タンパク質が作られます。遺伝子の主な仕事は、「タンパク質を作ること」と、いたってシンプルなのです。DNAの並び方が遺伝情報となって性質が決められる仕組みは、基本的にあらゆる生物に共通しています。
3.タンパク質の働きで、生物のいろいろな性質が決まります。
1つの細胞の中に、例えばイネなら4万もの遺伝子があります。それぞれの遺伝子の仕事は決まっていて、「病気に強くなる」「実をたくさんつける」など、いろいろな働きのタンパク質を作り出します。ただし、すべての遺伝子が勝手に作られるわけではありません。どの遺伝子が、いつ、どの細胞で、どれだけの量が作られるのかも、遺伝子によって決められています。
こうして、「病気に強くなる」タンパク質が作られれば、その生物は病気に強くなります。「実を沢山つける」というタンパク質が作られれば、実を沢山つけるようになります。どんな遺伝子を持っていて、どんなタンパク質がどのように作られるかによって、生物の性質は決まるのです。
4.遺伝子を食べても問題ありません。
私たちは毎日、食事を通じて大量の植物や動物の遺伝子、すなわちDNAを取り込んでいます。人間の唾液や消化液の中には、DNAを分解する酵素があります。食べたDNAは、酵素によって分解されると、栄養として吸収され、余分なものは排泄されます。これまでに説明した通り、体の中でDNAが働くためには、細胞の核の中で、DNA鎖の中の遺伝情報を持った配列として、「この遺伝子を作れ」という指示を受ける必要があります。したがって、DNAを食べても問題はありません。
また、食べたタンパク質も、胃腸内で酵素の働きによってアミノ酸やペプチド(数個のアミノ酸が連なったもの)に分解され、体内で利用あるいは排泄されます。私たちは毎日大量のDNAやタンパク質を取り込んでいますが、これらがそのままの形で吸収されることは無いのです。
基礎編
食品・飼料編
- 日本で流通している遺伝子組み換え食品にはどのようなものがありますか 。
- 遺伝子組み換え食品の安全性は、誰がどのように確認しているのですか。
- 遺伝子組み換え作物を使った食品は、どのように表示されますか。
- 遺伝子組み換え食品を食べ続けても大丈夫ですか。
- 食べたら害虫が死んでしまうような遺伝子組み換え作物を人間や家畜が食べても平気ですか。
- アレルギーを引き起こす心配はありませんか。
- 飼料として使われる遺伝子組み換え農作物の安全性は確認されているのですか。また、遺伝子組み換え飼料で育った家畜の肉や乳、卵を食べても大丈夫ですか。
- 除草剤耐性作物の栽培に使用されるグリホサートの安全性について教えてください。
- グリホサートの発がん性について、世界の規制当局と国際がん研究機関 (IARC) で評価が異なるのはどうしてでしょうか。
環境編
- 環境に対する影響はありませんか。
- 害虫抵抗性トウモロコシを害虫以外のチョウの幼虫などが食べて死んだりしませんか。
- 害虫に強い遺伝子組み換えトウモロコシを栽培し続けると、害虫の抵抗力が増して、害虫抵抗性の効果がなくなることはありませんか。
- 除草剤の影響を受けない作物の栽培によって農薬の使用量が増えませんか。
- 除草剤の影響を受けない植物が雑草化してしまったらどうするのですか。 また、その遺伝子が雑草に移って除草剤をまいても枯れない雑草が繁殖してしまったらどうするのでしょうか。
- こぼれ落ちた遺伝子組み換え作物が日本の生物多様性に悪影響を与えることはありませんか。
- 遺伝子組み換え作物の普及によって単一栽培が進み、品種の多様性が失われてしまったり、農業や食糧が特定の企業によって支配されてしまったりすることはないでしょうか。
- 遺伝子組み換え作物を栽培することで、環境に対してどのようなメリットが期待できますか。
- 遺伝子組み換え作物の栽培では、農家は毎年種子を購入する必要があると聞きましたが本当ですか。
- 遺伝子組み換え作物との交配により除草剤の効かないスーパーウィードが出現していると聞きましたが本当ですか。
テクノロジー編
検証編
- 「遺伝子組み換えトウモロコシを2年間ラットに与えたところ、乳がんや脳下垂体異常、肝障害を発症した」という論文が発表されたと聞きましたが、本当に大丈夫ですか。
- 「遺伝子組み換えダイズを食べたラットから生まれた仔ラットの死亡率が高く、成長も遅かった」という実験結果を聞きましたが、本当でしょうか。
- 「遺伝子組み換えジャガイモをラットに食べさせる実験を行ったところ、免疫力が低下した」というのは本当ですか。
- 「遺伝子組み換え食品を食べると、抗生物質が効かなくなる」というのは本当ですか。
- 「承認されている遺伝子組み換え作物も、アレルギーの危険がある」というのは本当ですか。
- 「遺伝子組み換えダイズが含まれるハンバーガーを食べたヒトの腸内細菌から除草剤耐性菌が検出された」と聞きましたが、本当に食べ続けても大丈夫なのでしょうか。
- 「遺伝子組み換えダイズを栽培したところ、非遺伝子組み換えのものより収量が減った」という報告は本当ですか。
中高生から寄せられた質問
- 未来は遺伝子組み換え作物でどう変わっていくのですか? (2020年11月・中学生)
- 遺伝子組み換え作物を開発するうえで一番大切にしていることはなんですか? (2020年11月・中学生)
- 遺伝子組み換え作物で花粉症の症状を和らげることに成功したと聞きましたが、そのことをどのように思っていますか。他にも成功した例、今後出てきそうな例はありますか?(2020年11月・中学生)
- 遺伝子組み換え作物を食べて人間のDNAが変わってしまったり機能が失われたりすることはありますか? (2020年11月・中学生)
- 遺伝子組み換えによって、狙ったところ以外のDNA配列に影響を与えてしまう(突然変異)可能性はどのくらいありますか?(2020年11月・中学生)
- 人間の解明されている遺伝子は全体の2%だけですが、野菜・果物などはどれくらいわかっているのですか。仮にある野菜のゲノムが100%解明されたら、その野菜に行う遺伝子組み換えは安全になりますか? (2020年11月 ・中学生)
- 現在、主に遺伝子組み換え作物の中で、とうもろこし、菜種、大豆などが日本に輸入されてきていますが、これからより多くの遺伝子組み換え作物が日本に輸入されると思われますか。また、日本では遺伝子組み換え作物の栽培が進められますか。(2020年11月・高校生)
- 現在国で流通が認められている大豆やとうもろこしなどの作物以外に、これから流通するだろうと思う作物はありますか(2021年1月・高校生)
- 日本と海外では、どのくらい遺伝子組み換え技術の進歩に差がありますか。可能な限り最新の情報が欲しいです。(2021年1月・高校生)
- 遺伝子組み換え作物をつくるためにはどのくらいの時間がかかるのですか?(2020年11月・中学生)
- 除草剤耐性、害虫耐性の遺伝子組み換え作物を栽培することによって、一般のものと比べてどのくらい生産効率は上がりますか? (2022年1月・高校生)
- 遺伝子組み換えの技術を利用することにより、解決できる問題はありますか。(2020年11月・高校生)
- 私たちは遺伝子組み換え食品で飢餓や貧困は無くせるのかというテーマで調べていくうちに、この問題を遺伝子組み換え食品だけで解決するのは難しいと感じたのですが、専門の方から見てこの問題を解決することはできると思われますか。(2020年11月・高校生)
- 将来的にウイルスなどで食物が育てられなくなったときや、人口増加で食料がさらに足りなくなったときに、遺伝子組み換え作物を使用しない場合、どのような別の対策ができるでしょうか? (2020年11月・中学生)
- アフリカやスーダンなどの発展途上国の飢餓問題を、遺伝子組み換え作物を栽培することによって救えると思いますか? (2022年1月・高校生)
- 将来の食糧危機に向けて昆虫食が注目されていますが、遺伝子組み換え作物を栽培することによって、食糧危機や飢餓を救えると思いますか?(2022年1月・高校生)
- 人口増加などで食糧難になるという話もあります。その時病気などに強く栽培が簡単な遺伝子組み換え作物が作れるのなら、遺伝子組み換え食品はさらに身近になっていくのでしょうか?(2022年1月・高校生)
- ゲノム編集は国の許可が必要ではないと調べてわかったのですが、国の許可が必要である遺伝子組み換え作物とでは、どちらの方が安全ですか。(2020年11月・高校生)
- そもそもゲノム編集技術と、遺伝子組み換え技術の違いはなんですか。(2021年1月・高校生)
- 遺伝子組み換え食品の開発には莫大な予算や審査のための時間がかかりますが、ゲノム編集食品は比較的開発費用を抑えられるので、注目が集まっています。今後はゲノム編集食品開発の方が遺伝子組み換え食品開発より活発になると思いますか。(2022年1月・高校生)