GMO Answers

質問

質問者 Stu Smith

文明が始まって以来、様々な農業体系が出現してきましたが、いかなる体系であれ長所と短所があります。有機農業を支持する科学者たちでさえ、有機農業には得失があることを認めることでしょう。GMO農業を支持する科学者たちは、GMO種子や化学農業の短所について、どのように考えているのでしょうか? 私たちは、GMO について、例えばGMOのラベル表示を行えば経済や農家が破たんするというような不安を煽る形での話を含め、長所ばかりを耳にしています。 長所ばかりが宣伝されるのは、多くのアメリカ人がGMOについて不信を抱いているからなのでしょうか? この質問にはっきりと答えて頂けますか?

回答

農業は人間の営みであり、環境に様々な影響を与えます。そのような影響は、何千年にもわたって、もたらされています。私たちは、増え続ける世界の人口の需要を満たすことが出来るよう、常に、生産方法の改善や、農薬や肥料などの投入量低減につながる新たな方策の開発に取り組んでいます。遺伝子組み換え作物は、確かに「特効薬」ではありませんが、食料生産における重要なツールであることは確かです。また、遺伝子組み換え作物がもたらすベネフィットは、そのコストを遥かに上回ります。

あなたの質問にある「化学農業」に関してですが、作物の栽培に合成化学薬品(殺虫剤や除草剤、肥料、植物成長調整剤など)を採りいれた農業体系、という意味に解釈したいと思います。従来型の農業や遺伝子組み換え作物を用いる農業は、有機農業と様々な点で異なりますが、違いの一つには、合成化学薬品の使用の有無があります。有機栽培では、多くの合成化学製品の使用が禁じられていますが、化学品が有機栽培の体系の中にも取り入れられていることは、留意すべき点です。例えば、合成化学肥料の使用は禁じられていますが、堆肥のような有機肥料の使用は認められています。また、作物の生産方法がどうであれ、すべての農家が雑草や害虫を防除しなければなりません。(「有機農業で使用が認められた化学品」リストへのリンクhttp://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?c=ecfr&SID=9874504b6f1025eb0e6b67cadf9d3b40&rgn=div6&view=text&node=7:3.1.1.9.32.7&idno=7 を参照)

米国で、「遺伝子組み換え作物」と言った場合、通常主に三つの作物(トウモロコシ、ダイズ、ワタ)と二つの形質(害虫抵抗性除草剤耐性)のことを意味します。当然例外もありますが(例えば除草剤耐性アルファルファや除草剤耐性テンサイ、乾燥耐性トウモロコシ)、トウモロコシやダイズ、ワタなどの作物に比べ、これらの栽培面積はさほど広くありません。また、遺伝子組み換え小麦は市販されていませんし、実質的に遺伝子組み換え野菜も(カボチャとスイートコーンは例外)市場には出回っていません。

現在、米国で栽培されているトウモロコシやワタ、ダイズの90%以上は遺伝子組み換えです。遺伝子組み換え作物の採用率が高い理由は、農家が遺伝子組み換え作物を、雑草防除や害虫管理上のよりよい選択肢として、またより多くの利益をもたらすものとして、そして、環境により良い生産方法の選択肢として、価値があると判断した結果に他なりません。遺伝子組み換え作物のベネフィットは、農家には数多くありますが(ゆえにこの技術の採用率は高い)、これらのベネフィットと、作物を食品として口にする最終消費者が「付加価値」として認めるものとの間には、大きな隔たりがあります。このギャップは、短所とも言え、科学や技術に対する誤解や間違った解釈につながり、その結果、遺伝子組み換え作物の「安全性」をめぐる疑問が生じています。

ではこれらの遺伝子組み換え作物は、どれくらい安全なのでしょうか? このことは、私たち消費者にとって、何を意味するのでしょうか?米国で販売される食品はすべて、FDAが定める厳格な安全性要件を満たさなければなりません。しかしながら、遺伝子組み換え作物だけが、市場に出される前に、広範囲に渡る評価と承認プロセスを経なければなりません。-これは長所(安全性の保証)でもあり、短所(商品化が遅れる、費用がかかる)でもあります。遺伝子組み換え作物が、同等の従来型作物や有機栽培作物に比べ、より安全である例もあります。例えばBtトウモロコシです。遺伝子組み換え技術は、トウモロコシを食害する毛虫類の多くを防除するために開発されましたが、同時に、同じトウモロコシの穂を汚染する菌類(ヒトに発がん性のある化合物を作り出す菌)の発生を減らすこともできるのです。

遺伝子組み換え作物の短所としては、その他にUSDAの有機認証プログラムにおいて使用が禁じられていることがあげられます。ですから、もし農家が特定の市場向けに有機作物を生産したいと思っても、遺伝子組み換え作物を使うことはできません。これは有機生産者たちの選択肢を狭めています。生産性を引き上げ、有機市場に良質で環境にやさしい食料生産の選択肢をもたらす可能性のある有益な形質を、有機生産者たちは入手する機会を逸しているのです。

GMOのもう一つの短所は、遺伝子組み換え作物の市場化に要する時間とお金です。現在、市場化には1億3、000万ドルから1億5,000万ドルほどの費用がかかり、10年以上の年月を要しています。複雑な規制プロセスに時間とリソースが割かれる場合には、企業は、開発可能な形質の種類や数を絞らざるを得ず、農家や消費者に価値をもたらす有益な技術(病害虫抵抗性、水分や養分利用効率、栄養組成)の開発にも制限が加わります。 高額な規制費用は、中小企業による遺伝子組み換え作物の作出を難しくしており、結果的に、現在市販されている製品の大半が大企業によって作られたものになっています。また、商品化された既存の遺伝子組み換え作物の大半が主要な「条はん作物」であるのも、高額な規制費用が一因となっています。

ご質問に関連する遺伝子組み換え作物の問題については、ロバート・ウェイジャー氏が、別のGMO Answersの回答の中で詳しく述べていますので参照ください(http://gmoanswers.com/ask/why-are-all-answers-site-pro-gmo-there-no-single-drawback-gmo-foods-over-conventional-food-and)。 

ロバート・ウェイジャー氏の回答には、費用や遺伝資源の多様性、異家受粉、肥料使用や除草剤抵抗性雑草の問題などについても取り上げられています。

回答者 ウィリアム・モアー

回答者

ウィリアム・モアー

William Moar

博士、モンサント社、トウモロコシ昆虫抵抗性管理部門リード

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