GMO Answers

質問

質問者 Just Another Cr...(カリフォルニア州、サリナス)

ハイブリッド種子にGMO形質を組み込むときに、育種上、問題となることは何でしょうか? これに関連し、 法的な性能責任をめぐる課題には、どのようなものがあるでしょうか? また、そのような形質の環境放出に関して、規制上どのような課題があるでしょうか?

回答

まず、一連の質問を頂いたことに感謝します。 遺伝子組み換え品種の環境放出に関する規制課題について言えば、ハイブリッドの遺伝子組み換え品種(例えばトウモロコシ)と、おそらくそうでないもの(例えばダイズ)の間に、規制プロセス上、正式な違いはありません。組換え遺伝子が「規制解除」され、商業化されるには、遺伝子の性質や機能、宿主ゲノムへの挿入部位、植物の成長や組成に及ぼす影響、付加タンパク質のアレルギー誘発性などについての様々な問いに答えなくてはなりません。

あなたの質問はおそらく、ハイブリッドの商業用植物は、自家受粉する植物と掛け合わせるのではなく、自然界で異種交配する植物と掛け合わせるのが一般的だという認識から、出されたものかと思います。例えば、トウモロコシでは、雌花と雄花は別々に存在し、通常、一方からの花粉が、他の植物の卵に受粉します。これに対し、ダイズやその他の多くの植物は、両性花を持っており、雄性稔性のダイズでは、「異種交配」が起こることは事実上ありません。 ダイズの種子は、同一の植物にある精子と卵が融合した結果、出来るものです。

花粉の流動距離や異種交配の発生率は、商業化以前に、規制対象の実験用遺伝子組み換え植物を用いた試験によって、検討されています。 トウモロコシを例にとれば、実験用遺伝子組み換えトウモロコシは、他の従来型のトウモロコシから660フィート(約200メートル)離さなければなりません。 この距離をとることで、遺伝子組み換え花粉が近隣のトウモロコシを受精する確率は、大幅に減少します。

遺伝子組み換え作物の法的責任についての質問は複雑ですので、ドルー・カーシェンの優れた総説(2004年、クロップ・サイエンス 44巻 P.456-P.463)を紹介します。 カーシェンは、この問題に関係すると思われる指摘を、幾つかしています。 まず、植物品種の特許は、バイオテクノロジーが出現するはるか以前から、ずっと行われていた、と言う点です。 この事実は、昨今の議論の多くで、忘れられているように、私には思えます。 次に、有機栽培を行う生産者は、遺伝子組み換え植物の形質が存在することで、有機認証を失うことはない、と言う点です。 これは、花粉の流動は様々な農業環境で自然に起こる、という事実を反映しているものと思います。花粉の流動は、減らすことはできても、完全に止めることは不可能です。

三番目の重要な点は、多数の国際市場では、遺伝子組み換え植物に対して「ゼロ・トレランス」方針が採られていることです。この結果、国際市場は保護されるものの、遺伝子組み換え技術がもたらすベネフットを農家が十分に得られないという、奇妙な「綱渡り状態」が生じています。 将来的に、このことが合理的な方法で解決されることを願っています。

栽培した植物からでた花粉のせいで、その植物を栽培した人が訴えられるという議論を耳にすると、面白い質問をしたくなります。 仮に、私がブタクサ花粉のアレルギー症だったとして、近所にある、摘み取り自由の有機野菜農場に行ったとき、この農場でブタクサ花粉にさらされたとしたら、私は、この有機栽培農家を訴えることができるのでしょうか?

回答者 L.カーティス・ハナ博士

回答者

L.カーティス・ハナ博士

Dr. L. Curtis Hannah

フロリダ大学 教授

Pagetop