GMO Answers
質問
長年GMO作物を栽培した農地は、その後どうなるのでしょうか?
回答
あなたからのご質問は、2通りの解釈ができます。
- まず1つ目は、長年のGMO作物の栽培が、生態学的、あるいは、農学的、生物学的に見て、農地にどのような影響をあたえるのか?という質問であると解釈する。
- ?そして2つ目は、農家がGMO作物の栽培をやめ、その農地を転売する、あるいは他の用途に使用する場合にどのような影響があるのか? と言う質問であると解釈する。
これら2つには関連性がありますので、両方にお答えしたいと思います。私からの回答が、あなたのご質問の意図に沿ったものであれば幸いです。
?まず始めに、GMO作物の栽培は、非GMO作物の栽培と同様、農地に悪影響を及ぼすことはありません。実際に、Bt作物や除草剤耐性作物の栽培では、化学農薬の使用量は減りますし(多くの場合、より安全な農薬で済みます)、除草剤耐性作物の場合は、耕起も少なくて済みます。この結果、土壌の表面に植物質が多く残るようになり、土壌中の有機物質の量が増加します。このことはとても重要です。 何故なら、腐植土(有機質)は、(無機土壌成分の中で最も保水力が高い)粘土に比べ、400倍もの保水力があるからです。腐植土はまた、化学的な反応性が高く、土壌中に栄養成分を放出したり、土壌中の汚染物質を保持したりします。これにより、農地の地力や耐性が高まり、干ばつや土壌養分のアンバランスなどといった悪条件にも耐えられるようになります。更に、保全耕起を行うことで、農家の作業量は減り、時間的余裕が生まれ、化石燃料の消費量を削減でき、そして農機具の摩耗も少なくなります。将来的には、Btや病害抵抗性などの形質を持つ作物は、病害虫の防除に別の農薬を撒く必要をなくし、病害虫のリスクを軽減する上で、益々役に立つことでしょう。
そして次に、GM作物の栽培を止めた後の農地に何らかの使用制限が生じるか、という点についてですが、そのようなことは全くありません。農家は、GM作物を栽培していた農地で、他の作物を栽培することもできますし、畜産を営むこともできます。また、他のどのような目的の用地としても、転売することができます。事実、保全耕起栽培が行われていた農地は、前述した通り様々なメリットがあり、そうでない農地と比べ、土壌により多くの有機物が含まれていますし、土壌の浸食リスクも小さいため、より価値が高くなる場合がよくあります。唯一問題があるとすれば、その土地で米農務省(USDA)認証の有機栽培を行おうとする場合です。新たにこの認証を取得するには、以前その土地でどのような栽培が行われていたかに関わらず、4年間かかるのです。GMO栽培をしていたことで認証が遅れることはありません。有機農業以外の目的で使われていた土地を、有機認証の作物や家畜の生産のための土地に転換しようとする際に、有機生産者が必ず直面する問題なのです。
回答者 ローソン・モズリー回答者
ローソン・モズリー
Lawson Mozley
6代目の農家、フロリダ大学、大学院修士課程(農学)の院生