日本はコメ消費量の倍も輸入する消費大国です

1.遺伝子組換えは持続可能な農業の重要な手段の1つ

世界の遺伝子組換え作物の作付面積は年々増加しています。2016年の時点で28カ国、約1億8510万ヘクタールで栽培されています(図1)。商業栽培が始まった1996年時に比べると100倍以上に拡大しており、その面積は日本の国土の約4.9倍に相当します。このように年々遺伝子組換え作物を栽培する農家が増え続けていることは、収穫量の増加や農薬使用量の削減など、遺伝子組換え作物を利用するメリットを、農家の方々が実感している表れではないでしょうか。

世界の人口は増え続けており、2050年には農業生産量を現在より50%増やす必要があると言われています。しかし、農地面積の拡大には限りがあり、手つかずの自然を農地に簡単に変えるわけにはいきません。世界の胃袋を満たすには、今ある農地での生産量を増やさなければなりません。たくさん実をつける品種、早く収穫できる品種、干ばつに強い品種や病気に強い品種などを遺伝子組換え技術で実現することは、その解決策の一つとして期待されています。

世界の遺伝子組換え栽培面積
図1 世界の遺伝子組換え作物の栽培面積の推移 出典:国際アグリバイオ事業団(ISAAA)1999-2016、FAO STAT

2.輸入穀物の半分以上が遺伝子組換えです

日本では1996年から遺伝子組換え作物を利用していますが、法的には認められているものの、観賞用の花(青いバラ)を除き、商業的な栽培は行われていません。研究開発のための試験栽培だけが実施されています。したがって、日本で食品として利用されている遺伝子組換え作物はすべて外国からの輸入で、その量はコメの年間消費量の約2倍にもなります(図2)。日本が1年間に輸入する穀物量(約3,000万トン)の半分以上は、遺伝子組換え作物なのです。

日本は遺伝子組換え作物を、米国をはじめブラジル、アルゼンチン、カナダなどから輸入しています。日本はトウモロコシのほぼ100%を輸入に依存していますが、輸入トウモロコシの約90%が遺伝子組換え品種だと推測されます。ダイズやナタネ、ワタも約90%以上が組換え品種です。すなわち、日本は遺伝子組換え作物の「消費大国」と言えます。

日本の主な遺伝子組換え作物の年間輸入量
図2 日本の主な遺伝子組換え作物の年間輸入量(推定)
以下資料をもとに算出
財務省貿易統計(2016年全期)、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)年次報告(2016)、平成27年度食料需給表

3.もし遺伝子組換え作物がなくなったら…

遺伝子組換え作物は様々な用途に使われ、日本の食を豊かにしています。もし遺伝子組換え作物がなくなったら、私たちの食生活はどうなるのでしょうか。

フルーツジュースや炭酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料には、トウモロコシを材料にして作るコーンシロップが使われています。アルコール飲料に使う発酵原料もトウモロコシで作られます。日本はトウモロコシのほとんどを輸入に依存していますが、輸入トウモロコシの約8割が遺伝子組換えですから、これがなくなれば飲料産業への影響は避けられないでしょう。どれにしようか迷うほど店頭に並んでいた飲料の品数は減り、品揃えはずいぶん寂しくなるのではないでしょうか。

そして畜産業も窮地に追い込まれます。飼料の主原料はトウモロコシやダイズですから、もし遺伝子組換えのトウモロコシやダイズがなくなれば、飼料の調達が困難になり畜産業を続けられなくなります。国産の飼料だけでは、日本の畜産業を支えるのに十分ではありません。私たちが国産の牛肉や豚肉を食べようとすればするほど、飼料となる遺伝子組換えトウモロコシや遺伝子組換えダイズをたくさん輸入しなければならないのです。この点でも、遺伝子組換え作物の利用は欠かせないと言えます。

私たちはふだん、遺伝子組換え食品を食べているという実感があまりありません。だからこそ、なくなったときの影響は非常に大きいと思われます。それだけ遺伝子組換え食品は私たちの食生活に浸透し、なくてはならない存在になっているのです。

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