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質問

質問者 aconcernedcitizen (カリフォルニア州、ロサンゼルス)

欧州では、ネオニコチノイド系殺虫剤は、蜂や他の野生生物に有害な影響があるとして、使用が禁じられましたが、なぜ米国では未だに使われているのですか?

回答

ネオニコチノイド系殺虫剤は、米国農家の生産性向上や価格競争力の改善に貢献し、農業技術における重要な進歩として捉えられています。

大多数の科学者や蜂の専門家は、蜂の健康の低下には、寄生虫や病気、不十分な栄養、気候、養蜂(巣箱)の管理慣行などの様々な要因が絡みあっていると考えています。 欧州と北米で実施された大規模な多因子解析研究では、蜂の健康の低下と、バロアダニの存在や蜂の疾病との間には、高い相関性があるものの、農薬への暴露との相関性は低いと結論されています。

様々な研究グループが、15年間に及ぶ研究報告やデータベースを包括的にレビューし、それらの結果を公表していますが、彼らは、ネオニコチノイドがコロニー衰退の大きな原因だとする主張には、率直な疑問を呈しています。 最近公表された二つの報告も、ネオニコチノイドがミツバチの衰退の原因だとする主張には根拠がないとして、厳然と反論しています。 オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)は、その92ページに及ぶレポートで、同国内で広く使用されているネオニコチノイドの影響を調査した結果、「ネオニコチノイドの導入は、殺虫剤散布がもたらす農業環境リスクを、総じて減少させた」と結論しています。 また、「1990年代半ば以降、農業や園芸分野において、この系統の殺虫剤の使用は増加しているが、オーストラリア国内のミツバチ数は減少していない」とも指摘しています。 フェアブラザーらは、その報告(2014年)で、リスク評価が実験室レベルの研究に過度に依存していることを批判し、「個々のミツバチを使い最悪のケースだけを想定してリスク評価を行うことは、コロニーの相互作用によってもたらされる様々な特性が失われるため、個々の化学薬品の潜在的な作用メカニズムの理解には役立つかもしれないが、それらの実際的なリスクの把握には役に立たない」と述べています。 既存の広範な研究例を踏まえ、著者らは、「よって、作物に散布された農薬、あるいは特別にネオニコチノイドが、ミツバチのコロニーにとって大きなリスク要因である、と結論付けるのは合理的ではない」と結んでいます。

欧州連合では、他の国々で採用されている健全かつ科学ベースのアプローチに反し、欧州委員会は、2013年5月25日、新たな規制を導入し、ネオニコチノイドのいくつか(チアメトキサム、クロチアニジン、イミダクロプリド)について、一部の適用を使用禁止としました。 欧州委員会は、ネオニコチノイドに関する保留勧告を行うに際して、欧州食品安全機関(EFSA)が作成した新たなリスク評価手法を拠り所にしましたが、この評価手法は、世界の如何なる国の規制当局も検証しておらず、承認していないのです。 この新しいガイドラインは、政策決定を行うには、最悪の暴露シナリオに依存しすぎており、農業場面でのネオニコチノイドの継続使用を支持する既存の現実的かつ高度に蓄積された圃場試験結果を無視しています。 これは、科学を選択的に利用した憂慮すべき事例であり、予防原則が極端なかたちで適用された例に他なりません。

対照的に、2012年7月17日、EPAは、包括的なデータベースを基に、クロチアニジンの登録維持が妥当であることを確認し、 「(政府は)蜂のコロニーが、この農薬への慢性的暴露によって減少することを合理的に示すいかなるデータも認識していない」と述べています。

要するに、ネオニコチノイド系殺虫剤は、米国農家の生産性向上や価格競争力の改善に貢献し、農業技術における重要な進歩として捉えられているのです。 これらの製品は、取って代わった従来の農薬に比べ、明らかに性能がよく、環境にも有利なのです。 作物保護(農薬)業界は、蜂の農薬製品への潜在的暴露を減らすために最善の管理方法を採用することを含め、継続的な研究と有効なスチュワードシップ手法の採用を強く推奨しています。 全ての農業関係者は共通して、蜂を予期せぬ農薬への暴露から保護することは極めて重要であると、認識しています。しかしながら、コロニーの健康には、より広範で深刻な脅威が多々存在することを踏まえれば、私たちがこれらの脅威に対処できない限り、現実的には大きな進展は望めないでしょう。

回答者 イアン・ケリー

回答者

イアン・ケリー

Iain Kelly

バイエル・クロップサイエンス社、規制政策と危機管理部門、ディレクター

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