GMO Answers
質問
化学肥料や農薬を使用せずにBtワタを生産している友人が何人かいますが、なぜこれらは有機ワタとは呼べないのでしょうか? なぜGM作物は有機食品に含まれないのでしょうか?
回答
そうですね、これは大変良い質問で、確かに不思議に思いますよね。簡潔にお答えしますと、「USDAが定めた有機規制の要件を満たすためには、農家や加工業者は、GMOが使われていないこと、そして、農場から食卓にいたるまで、生産物(製品)が禁止された物質に触れないよう保護されていることを示す必要があるのです。」 このように、「有機」認証の生産システムではGMOの使用が認められていないことは、誰もが簡単に知ることができます。しかしながら、なぜ禁じられているのかについての情報を得るのは、とても難しいといえます。
私は、このカルフォルニアで農業を営む家族の6代目です。どの農家もそうですが、土地とそこで働く人たちが、私たちの最も大切な資産です。現在、「持続可能性」という考え方が世間で注目され始めていますが、これにはとても感慨深いものがあります、何故なら、私たちの家族は、何十年も前から「持続可能性」を大切にしてきたからです。将来の世代にわたり家族や地域社会を養うためには、土地を大切にすることが、農家としての私たちの責任です。どの農家も、自身の農業経営や係る人々にとって、最も良いと思う方法を選ぶことが大切です。私たち家族は、バイテクワタの栽培が、私たちの農場にとって最適であると判断しました。この栽培は、土壌の水分保持や農薬散布の低減などの点で、持続可能性に大きな貢献をしています。しかし一般の人々は、「有機」が「持続可能」の代名詞であるように、勘違いしています。有機ワタを栽培している友人もいますが、なぜそれが「持続可能」であると保証され、バイテクはそうでないのか、私には理解できません。
なぜ「有機」の認証で、GMOが禁止されているのか、時間をかけて調べてみましたので、少し背景をお話したいと思います。2010年に、「持続可能な農業をめざすKerr センター」は、ジョージ・キュッパーが著した「有機農業の歴史と哲学の概要」という論文を公開しました。これには、全米オーガニック認証基準が、1997年に、新設された連邦機関である全米オーガニックプログラム(NOP)によって起草されたと書かれています。 私たちのような農家がGMOワタの環境的なベネフィットに気づきはじめたのもちょうどその頃でした。このことは大切な点かと思います。当初、提案された基準には、有機栽培にGMOを使用することについて、何も言及されていませんでした。提案は、有機団体からの反発を受け、結果的に、GMOは有機栽培には使用できない「除外された農法」として定義づけられることになったのです。
Kerr センターが公開した論文には、USDAに寄せられた約27万5千件の意見を参照し、「有機のコミュニティは、有機食品に遺伝子組み換えを認めないことを主張する、明確で断固としたメッセージ」を伝えたと記されています。これら27万5千件の意見すべてが、GMOを有機生産に含めることに反対する意見であると仮定してみましょう、 もちろんそうでないと私は確信していますが。1997年当時の米国の人口はおよそ2億6,800万人でしたから、簡単に計算すれば、「明確で断固としたメッセージ」が、人口の0.1%に相当する人たちから送られたもの推測できます。そうです、小数点以下(0.1%)なのです。理由はどうであれ、NOPは屈服し、全米オーガニック認証基準にGMOの使用禁止項目を含めたのです。このように、今や、合成農薬や化学肥料を使わずに栽培されるGMO作物であっても、「有機」とは認められないのです。「禁止」の決定は、環境や常識の改善に最もよい方法であるはずの「科学」には基づいておらず、恐怖や利己主義、そして「不自然なものの付加は、有機であるはずがない」という硬直した哲学に基づいているのです。反GMO勢力(オーガニック認証プロセスを利用している私の農家仲間のことではありません)は、ブルース・チャッシーの記事(http://academicsreview.org/2014/04/why-consumers-pay-more-for-organic-foods-fear-sells-and-mark)が指摘する通り、GMOに恐怖心を植え付けるようなやり方で、GMOに関する誤った情報を巧妙に広めますが、私のような農家や査読を要する科学誌から、彼らの主張を裏付けるような、明確で具体的な例を示して欲しいと求めると、とたんに口をつぐんでしまうのです。
回答者 キャノン・マイケル回答者
キャノン・マイケル
Cannon Michael
ボウルズ農業社、社長