GMO Answers

質問

質問者 luccayer(マニトバ州、ウィニペグ)

最新の遺伝子組み換え技術は、保存性や病害抵抗性のような作物品質の改善にのみ使われているように思えるのですが、作物の味を良くするための遺伝子組み換えは行われているのでしょうか?

回答

現在、作物の食味に関わる遺伝子について多くのことが分かってきており、果物や野菜にこれらの遺伝子を速やかに再導入するのに、遺伝子組み換え技術は大いに役立つものと思われます。ではなぜ、このような遺伝子組み換えが行われてこなかったのでしょうか?過去50年間、植物育種の世界では、生産形質、つまり、果実の大きさや、収量、病害に対する抵抗性、そして出荷品質の改善が最も重要視され、風味や香についての評価は、それほど重要視されていませんでした。

現在、作物に食味などの形質を付与するのには、遺伝子組み換え技術ではなく、DNAマーカー育種法が利用されます。これは世界中に広く普及している技術ですが、育種に時間がかかります。特に樹木作物においてその傾向は顕著です。

遺伝子組み換え技術を用いることにより、この育種プロセスが短縮されることは、ある程度予測できます。しかし、商業利用のための承認を取得するには、時間もお金もかかるため、遺伝子組み換え技術を使った官能的品質の改善は好ましい選択肢であるとは言えません。消費者の反応を懸念し、ほとんどの企業が遺伝子組み換え技術の導入に消極的な姿勢をとっています。

現在のところ、作物の食味や香りの改良には、今まで通り、従来の育種技術が使われています。改良品種の消費量が増えれば、農業は促進され、わが国、そして世界全体で人々の健康維持に貢献することになるでしょう。

回答者 ケビン・フォルタ

回答者

ケビン・フォルタ

Kevin Folta

フロリダ大学、園芸学科、教授兼学科長

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