GMO Answers
質問
ほとんどのGM食品に短期的な健康リスクが無いことは理解していますが、私たちがGM食品を食べ続けることで、次の世代に深刻な被害が起こる可能性はないのでしょうか?
回答
GM食品がもたらす将来的な影響をどう判断すべきかについては、多くの研究者たちが議論してきました。
イリノイ大学、アーバナ・シャンペーン校、食品科学・人間栄養学部、食品安全・栄養学、ブルース・M・チェーシィ(Bruce M. Chassy)名誉教授は、以前に寄せられた質問への回答の中で、科学者たちがどのように将来予測に取り組んでいるかについて、次のように説明しています。
『科学は将来を予測できるか?との質問ですが、その答えは、「いいえ」でもあり、「はい」でもあります。科学は、将来に起こり得ることを推定するには、最善のシステムです。気候変動の科学が良い例でしょう。世界はまだ50年前に予測されたほどには温暖化はしていません、そういう意味では「いいえ」でしょう。しかしながら、科学者たちは、現在の傾向が続けば、温暖化が進むと確信しています。これが、科学を利用して将来を予測するということです。科学で100%確実な予測をすることができるのか?それは絶対に無理です!私たちはそれぞれに個性が異なります。コップに水が半分も入っていると思う人もいるでしょうし、半分しか入っていないと思う人もいます。人によって見方が違います。私たちが変化について考えた場合、例えばGM作物を導入する場合、それをリスクとみるか、ベネフィットとみるか人それぞれです。これは人間の本質ですし、危険を回避したいという人々がいることで、幸いにも私たちは悪い事態に陥る前に、考えることができるのです。しかし、DDTやサリドマイドのように失敗だと主張される例がある一方、文字通り(何百万ではないとしても)何千もの新製品や技術革新が、重篤で不必要な副作用を伴うことなく、ベネフィットをもたらしていることを忘れてはなりません。』
カリフォルニア大学デービス校、バイオテクノロジー・プログラム部門のアソシエイツ・ディレクター、デニール・ジャミソン・マクラング博士は、何千年にもわたって人類が食品をどのように変えてきたのかについて触れ、長期的なヒトへの健康影響の判断は、「相対リスク」の問題であると述べています。
『ほとんどの人々は、植物育種家たちが、何世紀にもわたって、植物のゲノムを無作為に変更したり、混ぜ合わせたりしてきたことを知りません。私たち(人類)が、何千年も前から様々な方法を用いて、遺伝子組み換えを行ってきたことを考えれば、この問題は「相対リスク」の観点で捉えるべきかと思います。すなわち、GM食品の長期的な健康影響について、私たちはどれだけ確実に予測できるか?という観点です。この世のほとんどすべてのことに対し(格言にもあるとおり、死と税金を除いては)、100%確実な予測は不可能であるか、求めること自体無理なことなのです。しかし、(GM作物の栽培が始まった)1996年以来、GM食品が安全に使用されてきたという事実(健康被害の例は報告されていないこと)は、私たちが持つヒトや植物の生理に関する知識にも照らして考えれば、農業用の植物育種ツールとしての遺伝子組み換えが長期にわたり安全に利用可能であることを示しています。』
最後に、コーネル大学の植物生理学教授兼植物生物学国際教授である、ピーター・J・デイビス(Peter J. Davis)氏は、様々な科学的証拠が、どのようにGMOの長期的な健康影響を否定しているかについて、説明しています。
『科学は、「物事が起こらないこと」を完全に証明することは不可能です。例えば、私は科学者として、「あなたが来年皇帝ペンギンに襲われることはない」ということを証明することはできません。ペンギンの習性に関する知識から、そのようなことは「ほぼ確実に起こらない」と報告することはできますが、どれだけ多くの調査をしたとしても、それが「起こらない」ということは証明できないのです。GM食品にも同じことが言えます。科学的にはGM食品は無害であると言われており、従来実施された多くの信頼すべき研究では、何らの有害影響も指摘されていません。しかしながら、私たちは、「今後も決して有害影響が出ない」ことを証明することはできません。私たちが言えるのは、「現在栽培が許可され市場に流通しているGM形質の安全性に関し、すべての証拠は、GM作物が同種の非GM作物と同等であることを示している」ということだけです。』
『GM作物は、新たな食品リスクをもたらすことは無いと考えられます。なぜなら、遺伝子の変化は単に分子(タンパク質やDNA)の中のことであり、このような分子は、私たち(人類)が普段口にする食品に常に含まれてきましたし、加えられた僅かな量の物質は、通常の胃の消化プロセスによって、あらゆる食品が分解されるのとまったく同じように、分解されるからです。GM作物については、従来、世界中の多くの国々で、非常に広範囲にわたる安全性試験が実施されてきましたが、食品安全性や環境に対する安全性という点において、非GM作物と変わりがないことが明らかにされています。』
回答者 コミュニティ・マネジャー回答者
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