更新日:2023年2月1日

台湾

生産の状況

台湾では、遺伝子組み換え作物が栽培されたことはありません。ただ、海外から輸入している農産物のうち、とくにアメリカやブラジルから輸入している大豆、トウモロコシ、ワタは遺伝子組み換え作物と考えられます1

研究開発段階のものとしては、遺伝子組み換えのイネ、果樹、野菜、花、鑑賞魚などに取り組んでいます。観賞魚に関しては、野外試験が行われており、順調にいけば台湾で最初の野外利用される遺伝子組み換え生物になるかも知れません。

安全性審査

衛生福利部(TFDA)が食品安全性審査(事前審査、表示、トレーサビリティ)に責任を持つと共に、輸入時および流通過程での食品検査も担当しています。また農業部(COA)は環境中での利用に関する安全性審査および飼料安全性を担当しています。科学技術省(MOST)は研究段階でのバイオセイフティを監督しますが、バイオテクノロジーの基本政策の制定は、行政院(Executive Yuan)の科学技術会議(Board of Science and Technology)が行っています。

基本法制には次のようなものがあります。TFDA関連については、「食品安全・衛生法」、「遺伝子組み換え食品に関する助言委員会設置規則」。また農業部に関連しては、「植物品種・種子法」、「遺伝子組み換え植物の野外試験管理規則」、「遺伝子組み換え植物の包装・表示に関する規則」、「遺伝子組み換え植物の輸出入認可に関する規則」「遺伝子組み換え飼料および飼料添加物の許可・検査に関する規則」などです。また2019年8月には、組換え微生物由来の食品安全評価のためのガイドラインが公表されました。

表示

遺伝子組み換え原材料から「直接」製造された商品には、表示が義務付けられています(大豆油や醤油などDNAが検知できない食品も義務表示対象に含まれています)。「二次的」な加工を行った派生製品に関しては、組換えたDNAや新規タンパクが検知できなければ、表示対象から除外されています。なお、意図せざる混入の閾値は、製品の原材料毎にその重量の3%以下とされています。(遺伝子組み換え由来の原材料が意図的に加えられた場合には、その含有量に関わらず表示が必要です。)

トレーサビリティも義務付けられており、遺伝子組み換え作物を輸入・加工した事業者は製品のトレーサビリティができるようにする必要があり、記録も5年間保存することになっています。

新たな育種技術(NBT)の扱い

ゲノム編集技術など新たな育種技術に対する研究に関しては、2018年以降、政府が研究開発予算を投じて積極的に進めています。規制に関しては、TFDAおよび農業部が検討を行っていますが、2022年末の段階では明確な規制が策定されていません。

※協力:名古屋大学大学院 環境学研究科 立川 雅司 教授

1USDA-FAS (2022) Taiwan: Agricultural Biotechnology Annual. GAIN Report Number TW2022-0056

世界各国の法制度

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