
1996年に商業栽培が開始されて以来、遺伝子組み換え作物は世界中で急速に栽培面積を伸ばしてきました。ダイズ、トウモロコシ、ワタ、ナタネなどが主要な遺伝子組み換え作物であり、除草剤耐性品種と害虫抵抗性品種、あるいはそれらを組み合わせたスタック品種が最も利用されています。
国別の栽培面積
2023年現在、遺伝子組み換え(GM)作物は世界26カ国で合計2億600万ha以上の農地で栽培されています1。北米および南米の国々において特に大規模に栽培されていますが、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの国々でも栽培が行われています。GM作物の商業栽培が開始された当初は、先進工業国における栽培が大部分を占めていましたが、現在では発展途上国における栽培面積が先進工業国を上回っています。
2023年における遺伝子組み換え作物の栽培国

AgbioInvestor GM monitor 「Global GM Crop Area 2023 Review(February 2024)」をもとにバイテク情報普及会とりまとめ
2023年における各国の栽培状況
順位 | 国名 | 栽培面積 (万ha) | 栽培作物 |
---|---|---|---|
1 | 米国 | 7,440.5 | トウモロコシ、ダイズ、ワタ、アルファルファ、ナタネ、テンサイ |
2 | ブラジル | 6,692.0 | ダイズ、トウモロコシ、ワタ、サトウキビ |
3 | アルゼンチン | 2,313.0 | ダイズ、トウモロコシ、ワタ、コムギ |
4 | インド | 1,206.5 | ワタ |
5 | カナダ | 1,149.5 | ナタネ、ダイズ、トウモロコシ、テンサイ |
6 | パラグアイ | 428.9 | ダイズ、トウモロコシ、ワタ |
7 | 南アフリカ | 330.9 | トウモロコシ、ダイズ、ワタ |
8 | 中国 | 275.5 | ワタ |
9 | パキスタン | 228.0 | ワタ |
10 | ボリビア | 149.6 | ダイズ |
11 | オーストラリア | 141.6 | ナタネ、ワタ |
12 | ウルグアイ | 123.0 | ダイズ、トウモロコシ |
13 | フィリピン | 62.3 | トウモロコシ、コメ |
14 | ベトナム | 22.0 | トウモロコシ |
15 | スーダン | 19.6 | ワタ |
16 | コロンビア | 15.2 | トウモロコシ、ワタ |
17 | ミャンマー | 11.6 | ワタ |
18 | ホンジュラス | 5.5 | トウモロコシ |
19 | スペイン | 4.6 | トウモロコシ |
20 | インドネシア | 1.9 | サトウキビ、トウモロコシ |
21 | チリ | 1.3 | ナタネ、トウモロコシ、ダイズ |
22 | メキシコ | 1.0 | ワタ |
23 | エチオピア | 0.8 | ワタ |
24 | ケニア | 0.5 | ワタ |
25 | バングラデシュ | 0.3 | ナス |
26 | ポルトガル | 0.2 | トウモロコシ |
合計 | 20,625.8 |
1996年‐2023年までの各国の栽培面積の推移

AgbioInvestor GM monitor 「GM and Approval Data(All Data 2024 V3.xlsx) 」をもとにバイテク情報普及会とりまとめ
作物別の栽培面積
作物別に見ると、ダイズ、トウモロコシ、ワタ、ナタネの順に、GM作物の栽培面積が大きくなっています。世界で栽培されている品種のうち、ダイズのおよそ7割、ワタのおよそ8割、トウモロコシのおよそ3割をGM品種が占めています。
1996年‐2023年までの作物ごとの栽培面積の推移

AgbioInvestor GM monitor 「GM and Approval Data(All Data 2024 V3.xlsx) 」をもとにバイテク情報普及会とりまとめ
2023年における主要作物の総栽培面積に対する遺伝子組み換え品種の割合

AgbioInvestor GM monitor 「GM and Approval Data(All Data 2024 V3.xlsx) 」をもとにバイテク情報普及会とりまとめ
形質別の栽培面積
「形質」とは、遺伝子組み換え技術によって導入した性質のことです。たとえば「除草剤耐性」、「害虫抵抗性」などが形質です。GM作物の商業栽培開始以降、除草剤耐性が常に最も利用されてきた形質です。当初は、除草剤耐性や害虫抵抗性などの形質を一つだけ含む品種が栽培されていましたが、近年では複数の形質を併せ持つ「スタック」品種の割合が増えています。
【参考】1996年‐2019年までの形質ごとの栽培面積の推移

「ISAAA Brief 55: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2019 」をもとにバイテク情報普及会とりまとめ
https://gm.agbioinvestor.com/downloads