よくある質問 - 基礎編

質問

更新日:2024年12月19日

身の回りで使われている遺伝子組み換え技術にはどんなものがありますか。

回答

遺伝子組み換え技術は、農作物だけではなく、食品や工業製品、医薬品など幅広く活用されており、多様な分野に貢献しています。また、遺伝子組み換え技術を利用して、環境をきれいにする研究も進められています。ちなみに、農業分野で利用される遺伝子組み換え技術をグリーンバイオテクノロジーと呼ぶのに対し、工業分野をホワイトバイオテクノロジー、医薬品をレッドバイオテクノロジー、環境分野をグレーバイオテクノロジーと呼ぶこともあります。

1.食品工業

遺伝子組み換え技術は酵母や麹菌の育種、甘味料の製造、また食品添加物にも利用されています。例として、牛乳を凝固させる酵素「キモシン」はナチュラルチーズの製造に欠かせませんが、天然のキモシンは仔牛の第4胃の中で分泌されるもので、大量に抽出することができず、貴重で高価なものでしたが、キモシンを作る遺伝子を微生物に組み込むことで大量に生産することが可能になりました。また、私たちが日常的に摂取している食品・飲料やサプリメントなどに含まれるアミノ酸やビタミン類の多くが、遺伝子組み換え技術を用いて生産されています。開発中のものとしては、近年話題になっている培養肉にも遺伝子組み換え技術が用いられています。

2.医薬品

遺伝子組み換え技術を用いて製造したヒトインスリンやB型肝炎ワクチンなど、医療分野ではすでに数多く商品化されています。糖尿病に使うインスリンは、以前はブタなどから抽出していましたが、遺伝子組み換え技術によってヒトインスリンが大量供給できるようになりました。他にも、ヒト成長ホルモンや、ニボルマブなどの抗がん剤、また最近ではコロナウイルスのワクチンなど、医療分野ではすでに数多くの医薬品が開発されています。

3.工業製品

限りある化石燃料に代わるエネルギー源として、植物や廃棄物を原料としたバイオ燃料の利用が注目されています、遺伝子組み換え技術を使ってエタノールなどのバイオ燃料を効率よく生産する開発が進められています。

4.環境分野

遺伝子組み換え技術を使って、環境をきれいにする研究も進められています(バイオレメディエーション)。環境汚染物質の分解除去、吸収を行うための環境浄化能力の高い微生物や植物の開発や、廃棄問題に対応した生分解性プラスチックを生産する微生物や植物の開発が行われています。また、近年ではプラスチックを分解する酵素(ポリエチレンテレフタレート分解酵素)に注目が集まっており、遺伝子組み換え技術を用いた持続可能なプラスチック再利用プロセスの開発が期待されています。

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