よくある質問 - 環境編

質問

更新日:2024年5月8日

遺伝子組み換え作物との交配により除草剤の効かないスーパーウィードが出現していると聞きましたが本当ですか。

回答

「スーパーウィード」は科学的な用語ではありません。除草剤に対して抵抗性を獲得した雑草は、科学的には「除草剤抵抗性雑草」と呼ばれます。その除草剤抵抗性雑草の問題は、遺伝子組み換え作物から雑草への遺伝子移入が原因ではありません。除草剤抵抗性雑草の出現は、特定の除草剤に過度に依存することに起因しており、遺伝子組み換え作物が普及するより以前から世界各国で報告されています。また、抵抗性を示す特定の除草剤の散布が無ければ、除草剤抵抗性雑草と元の雑草に何ら変わる性質はありません。

スーパーウィード (superweed) とは、特定の1種類もしくは複数種の除草剤に対して抵抗性を獲得した雑草を指すことが多いようですが、これは俗語であり、このような雑草を専門的には除草剤抵抗性雑草 (herbicide resistant weeds) と呼びます。遺伝子組み換え作物の普及が除草剤抵抗性雑草の発生の原因と誤解されることがありますが、遺伝子組み換え作物が普及するより以前から、除草剤に抵抗性を示す雑草は世界各国で報告されています (1)。また、これまでのところ、遺伝子組み換え作物から雑草への遺伝子移入が、農家が直面している除草剤抵抗性問題の一因となっていることを示す科学的根拠はありません (2)。

除草剤抵抗性雑草が発生する主な原因は、一定の地域で同一の除草剤を繰り返し使用することで、その除草剤に抵抗性をもつ雑草が生じ、世代交代を経て個体群が抵抗性を持つものに置き換えられることだと考えられています (3, 4)。また除草剤による雑草防除のみならず、機械的防除 (手取りや機械による除草)、生物的防除 (種子食昆虫等を用いた除草法の導入など)、耕種的防除 (栽培方法の工夫など) に過度に依存することによっても、それぞれの防除方法に対する抵抗性が生じる可能性があると指摘されています (2)。

除草剤抵抗性雑草の発生防止には、一つの雑草防除方法に過度に依存することなく、様々な方法を組み合わせて使用することが有効です。除草剤抵抗性雑草の発生を抑制するには、1) 輪作、耕起、カバークロップの利用を実施する、2) 作用機序の異なる除草剤をローテーションで、または組み合わせて使用する、などの総合的な雑草管理手法が有効であるとされています (4)。

  1. (1) http://www.wssj.jp/~hr/weeds.html

  2. (2) https://wssa.net/2015/04/weed-scientists-offer-new-definition-for-superweed

  3. (3) https://ucanr.edu/blogs/blogcore/postdetail.cfm?postnum=4024

  4. (4) https://hracglobal.com/prevention-management/best-management-practices

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