よくある質問 - テクノロジー編
質問
更新日:2022年11月28日
現在、海外で開発中の遺伝子組み換え作物にはどのようなものがありますか。
回答
害虫抵抗性や除草剤耐性の作物など、既に実用化された遺伝子組み換え作物は、農家に大きなベネフィットをもたらしています。現在開発が進められている作物には、より高収量の作物や耐病性の作物、栄養成分組成を向上させた作物、さらには、乾燥や高温、塩害などのストレスに強い作物などがあります。これらの開発には、増え続ける世界の人口や気候変動への対応を視野に、世界中の企業や公的な研究機関が取り組んでいます。
植物病に強い作物
植物病による作物の被害は甚大です。従来の育種では作出することが困難な耐病性の作物品種も、遺伝子組み換え技術の活用により、実用化が期待できます。既にパパイア・リングスポット・ウイルスに耐性を持つGMパパイヤや、いくつかのウイルスに耐性をもつGMスカッシュ(西洋カボチャ)などが実用化されています。この他、米国の柑橘生産で大きな問題となっているカンキツグリーニング病 に耐性をもつGMオレンジ、プラムなどの核果類に被害を及ぼすプラム・ポックス・ウィルスに耐性をもつGMプラム、害虫が媒介するピアス病に悩むぶどう生産者が期待をよせるGMぶどう、アイルランドに飢餓をもたらしたバレイショの胴枯れ病に耐性をもつGMバレイショ、などの開発が進行しています。
栄養成分を改善した作物
国際稲研究所(IRRI)が開発を進めているゴールデンライスには、ビタミンA前駆体のβ?カロテンが豊富に含まれています。開発途上国では、ビタミンAの不足による失明や疾病が深刻な問題となっており、主食であるコメからビタミンAを摂ることが出来れば、多くの子供たちを疾病から救うことができます。
同様な取り組みはキャッサバやバナナでも行われています。主にアフリカの人々が主食とするキャッサバは、カロリーは豊富である一方、ビタミンAや鉄分、タンパク質の含量が低く、これらの栄養成分を強化したキャッサバが、各地の研究機関によって開発されています。また、ビタミンA前駆体のα-カロテンとβ-カロテンを豊富に含むバナナは、オーストラリアの大学が開発に取り組んでいます。主食作物への取り組み以外にも、より健康に良い油分を含むダイズ、タンパク質の含量を高めたバレイショ、糖尿病や心血管疾患のリスク低減が期待されているフラボノイドを強化したトマトなど、様々な作物が開発されています。
ストレスなどに強い作物
異常な高温や低温、干ばつ、洪水や塩害などの非生物的ストレスは、作物に大きなダメージを与えます。気候変動が更に拡大すれば、作物の栽培が困難になる地域が増えると予想され、これらのストレスに耐える作物の開発は急務となっています。現在、開発が進められている技術には、次のようなものがあります。
乾燥耐性技術
土壌水分が長期にわたり低下した農地でも、作物の生存を可能にします。既に乾燥耐性トウモロコシが実用化され世界各地で栽培されていますが、その他の作物についても現在開発が進められています。
耐塩性技術
灌漑農地では、灌漑水に含まれる天然の無機塩が時間と共に土壌に蓄積していきます。このため、世界の灌漑農地は、その40%でしか作物の栽培ができません。
現在開発中の耐塩性作物は、通常よりも50倍も塩分濃度の高い(海水の三分の一の塩分濃度の)土壌でも、生育が可能です。この技術は、ますます深刻化する淡水資源への塩水の浸食問題にも極めて有効な解決策になります。
窒素利用効率技術
作物の窒素利用効率を高め、窒素肥料の地下水への流出を低減することができます。この技術を利用することで、収量を維持あるいは増加させながら、肥料の使用量を減らすことが可能です。
(出典)
・GMO Answers “Can genetic engineering protect plants from disease?”
・GMO Answers “How is biodiversity impacted by the introduction of GM crops?”
・Golden rice
・The Donald Danforth Plant Science Center
・The Journal of Nutrition (136: 2331~2337, 2006)
・INDEPENDENT“GM banana designed to slash African infant mortality enters human trials”
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遺伝子組み換え作物の種類
基礎編
食品・飼料編
- 日本で流通している遺伝子組み換え食品にはどのようなものがありますか 。
- 遺伝子組み換え食品の安全性は、誰がどのように確認しているのですか。
- 遺伝子組み換え作物を使った食品は、どのように表示されますか。
- 遺伝子組み換え食品を食べ続けても大丈夫ですか。
- 食べたら害虫が死んでしまうような遺伝子組み換え作物を人間や家畜が食べても平気ですか。
- アレルギーを引き起こす心配はありませんか。
- 飼料として使われる遺伝子組み換え農作物の安全性は確認されているのですか。また、遺伝子組み換え飼料で育った家畜の肉や乳、卵を食べても大丈夫ですか。
- 除草剤耐性作物の栽培に使用されるグリホサートの安全性について教えてください。
- グリホサートの発がん性について、世界の規制当局と国際がん研究機関 (IARC) で評価が異なるのはどうしてでしょうか。
環境編
- 環境に対する影響はありませんか。
- 害虫抵抗性トウモロコシを害虫以外のチョウの幼虫などが食べて死んだりしませんか。
- 害虫に強い遺伝子組み換えトウモロコシを栽培し続けると、害虫の抵抗力が増して、害虫抵抗性の効果がなくなることはありませんか。
- 除草剤の影響を受けない作物の栽培によって農薬の使用量が増えませんか。
- 除草剤の影響を受けない植物が雑草化してしまったらどうするのですか。 また、その遺伝子が雑草に移って除草剤をまいても枯れない雑草が繁殖してしまったらどうするのでしょうか。
- こぼれ落ちた遺伝子組み換え作物が日本の生物多様性に悪影響を与えることはありませんか。
- 遺伝子組み換え作物の普及によって単一栽培が進み、品種の多様性が失われてしまったり、農業や食糧が特定の企業によって支配されてしまったりすることはないでしょうか。
- 遺伝子組み換え作物を栽培することで、環境に対してどのようなメリットが期待できますか。
- 遺伝子組み換え作物の栽培では、農家は毎年種子を購入する必要があると聞きましたが本当ですか。
- 遺伝子組み換え作物との交配により除草剤の効かないスーパーウィードが出現していると聞きましたが本当ですか。
テクノロジー編
検証編
- 「遺伝子組み換えトウモロコシを2年間ラットに与えたところ、乳がんや脳下垂体異常、肝障害を発症した」という論文が発表されたと聞きましたが、本当に大丈夫ですか。
- 「遺伝子組み換えダイズを食べたラットから生まれた仔ラットの死亡率が高く、成長も遅かった」という実験結果を聞きましたが、本当でしょうか。
- 「遺伝子組み換えジャガイモをラットに食べさせる実験を行ったところ、免疫力が低下した」というのは本当ですか。
- 「遺伝子組み換え食品を食べると、抗生物質が効かなくなる」というのは本当ですか。
- 「承認されている遺伝子組み換え作物も、アレルギーの危険がある」というのは本当ですか。
- 「遺伝子組み換えダイズが含まれるハンバーガーを食べたヒトの腸内細菌から除草剤耐性菌が検出された」と聞きましたが、本当に食べ続けても大丈夫なのでしょうか。
- 「遺伝子組み換えダイズを栽培したところ、非遺伝子組み換えのものより収量が減った」という報告は本当ですか。
中高生から寄せられた質問
- 流通している遺伝子組み換え作物の種類は限られていますが、新たな遺伝子組み換え作物の開発には何かしらの障壁やデメリットがあるのでしょうか。 (2023年11月・高校生)
- 遺伝子組み換え食品に危険性がないことを証明することは難しいのではないでしょうか。 (2023年11月・高校生)
- 遺伝子組み換え食品の安全性や事実を世界に広めるためにするべきことは何ですか。 (2023年11月・高校生)
- 将来遺伝子組み換え技術に期待すること、また、そのために必要となる研究や技術はどのようなものですか。(2023年11月・高校生)
- 安全な遺伝子組み換え作物の種類を増やすときにネックとなる要素は何ですか。(技術面か、費用面か、規制面か、など) (2023年11月・高校生)
- 安全性審査を通らなかった遺伝子組み換え食品はどのくらいありますか。またもしあれば、それらは健康や環境にどのような悪影響を及ぼすと考えられますか。 (2023年11月・高校生)
- 将来予想される遺伝子組み換え食品の使用率は何%ぐらいですか。(2023年2月・高校生)
- 遺伝子組み換え食品の1番解決しなければならない課題を教えて下さい。(2023年2月・高校生)
- 遺伝子組み換え食品は気候に関係なく生産することはできますか。(2023年2月・高校生)
- 遺伝子組み換え食品は日本で生産することができますか。(2023年2月・高校生)
- 遺伝子組み換えを行うことによる1番の利点を教えて下さい。(2023年2月・高校生)
- カナダで行われた調査で93%の妊婦、80%の胎児の血液から遺伝子組み換えトウモロコシに含まれるBt毒素(害虫を殺す成分)が発見されたと、あるNPO法人のホームページにありましたが、安全性をどのように周知していくのがよろしいでしょうか。 (2022年10月・高校生)
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