よくある質問 - 検証編

質問

更新日:2022年11月28日

「遺伝子組み換えダイズを栽培したところ、非遺伝子組み換えのものより収量が減った」という報告は本当ですか。

回答

結論

現在栽培されている遺伝子組み換えダイズは、特定の除草剤の影響を受けないことを特徴とする品種です。収量を増やす遺伝子を組み込んだ品種ではありませんが、除草作業の効率が良くなり、従来よりも、条間を狭くして植えることが可能になり、単位面積当たりの収量を確保できることから米国では栽培農家が年々増えています。

発端

1999年、米国元農務省の研究者チャールズ・ベンブルック氏は、8つの大学から除草剤耐性の遺伝子組み換え作物(ラウンドアップ・レディーダイズ)の栽培試験結果を集め、解析したところ、非組換えダイズよりも組換えダイズの収量の方が数%少なかったと発表しました。(*1)

検証

ベンブルックの報告には、同じ栽培品種で比較していないなどの問題点があると、科学者から指摘されています。
ダイズにはさまざまな栽培品種があり、収量も品種によって多少異なります。したがって、同じ栽培品種で比較しなければ、本当に組換えダイズの収量の方が非組換えダイズに比べて減っていると結論することはできません。しかし、ベンブルックの報告では、異なる品種を用いて比較を行っています。一例を挙げると、ウィスコンシン州の北部で行われた調査では、非組換えダイズ70品種とラウンドアップ・レディー耐性の8品種を比較しており、比べた品種及びその数も大きく異なっており、科学的に正確な比較ではありませんでした。

遺伝子組み換えダイズの栽培は毎年増加しています

米国農務省によると、1996年から始まった除草剤耐性の遺伝子組み換えダイズの商業栽培面積は年々増え続けており、2016年には米国で作付けされるダイズ全体の94%を占めるまでになりました。(*2)もし、ベンブルックの報告のように減収となってしまうダイズならば、農家は栽培しなくなるので、このように毎年増え続けることはないと考えられています。

遺伝子組み換えによる生産量の増加などへの期待

英国の調査会社、PG Economicsの経済学者グラハム・ブルックスとピーター・バーフットの発表によると、害虫抵抗性や除草剤耐性などの性質が付け加えられた遺伝子組み換え作物の栽培によって、農薬使用量削減による農薬購入費用の削減および農薬散布のためのエネルギー費や人件費の削減などが可能となり、また、害虫による減収も防ぐことができるため、結果として生産性も向上し、1996年から2015年までの全世界の農業所得は、約1,540億USドル増加したという結果が出ています。(*3)

参照

(*1) Dr. Charles Benbrook Benbrook Consulting Services Sandpoint, Idaho(1999) Evidence of the Magnitude and Consequences of the
Roundup Ready Soybean Yield Drag from UniversityBased Varietal Trials in 1998
http://stopogm.net/sites/stopogm.net/files/EvidenceBenbrook.pdf
(*2) ISAAA(2017)Brief 52: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2016
http://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/52/default.asp
(*3)Brookes, G. & Barfoot, P.(2017)「GM crops: global socio-economic and environmental impacts 1996- 2015」
http://www.pgeconomics.co.uk/pdf/2017globalimpactstudy.pdf

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