よくある質問 - 検証編

質問

更新日:2022年11月28日

「遺伝子組み換え食品を食べると、抗生物質が効かなくなる」というのは本当ですか。

回答

結論

遺伝子組み換え作物を作るときには、遺伝子が組み込まれたことがわかるように、目印として抗生物質耐性遺伝子が用いられることがあります。これらの抗生物質耐性遺伝子は、食べた後で消化されてしまいます。したがって、これらの遺伝子が人間の腸の中にいる細菌に取り込まれて、抗生物質が効かない細菌が増えて問題になる可能性はほとんどありません。また、遺伝子組み換え食品の安全性審査においても、この点については詳細な検討が行われ、安全性が確認されたものだけが商品化されています。

発端

遺伝子組み換え作物を作るときには、遺伝子が組み込まれたことがわかるように目印として選択マーカー遺伝子を用います。この選択マーカー遺伝子として抗生物質が効かなくなる遺伝子(抗生物質耐性遺伝子)が用いられることがあります。そこで、遺伝子組み換え食品を食べると、腸内で抗生物質耐性遺伝子が腸内細菌に移り、結果として、抗生物質が効かない細菌が増えてしまい、病気になったときに抗生物質を服用しても効かなくなってしまうのではないかという疑問がメディアなどで紹介されたことがありました。

検証

遺伝子は体内で消化されるため、腸内に残る可能性はほとんどありません。

組み込んだ遺伝子は分解酵素によって分解されるため、腸内に残る可能性はほとんどありません。また、抗生物質耐性マーカー遺伝子が用いられている遺伝子組み換え食品の場合は、安全性審査の際に、その遺伝子が作るタンパク質(抗生物質代謝酵素)が人口胃液・腸液で分解されるかどうか、加熱などの調理によって分解されるか、さらにその摂取量などについて検討されており、懸念されている抗生物質が効かない細菌が増えることがないかなどが確認されています。(*1)

植物の遺伝子が微生物に移ったり、微生物の中で働いたりする可能性はほとんどありません

食品安全委員会でも、抗生物質耐性遺伝子に関しては、現在、抗生物質耐性マーカーとして使われているカナマイシン耐性遺伝子等、適切に安全性の評価がなされたものについては、直ちに安全性上問題となるものではなく、「現時点では、摂取されるDNAの量や、その消化性を考慮すると、組換え植物から腸内細菌あるいはほ乳類の細胞等へ遺伝子が移る確率は極めて低く、安全性上の問題にはならない」としています。(*2) また、審査にあたっては、抗生物質耐性遺伝子の安全性について、安全性審査のための詳細なデータを求めており、安全性について問題ないと結論づけています。(*3)

参照

(*1) 食品安全委員会「遺伝子組み換え食品(種子植物)の安全性評価基準(平成16年1月29日 食品安全委員会決定)」
http://www.fsc.go.jp/senmon/idensi/gm_kijun.pdf

(*2) 「遺伝子組み換え食品(種子植物)の安全性評価基準」案についての御意見・情報の募集結果について(専門調査会回答)
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/iken-kekka/kekka-gmkijun.pdf

(*3)厚生労働省医薬食品局食品安全部 「遺伝子組み換え食品Q&A」
抗生物質耐性マーカー遺伝子が入っている作物があると聞きましたが、挿入された遺伝子についてはどのようなことが評価されるのですか。
http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/qa/qa.html#D?11

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