よくある質問 - 食品・飼料編
質問
更新日:2022年11月28日
アレルギーを引き起こす心配はありませんか。
回答
開発企業は、遺伝子組み換え農作物が、従来の作物よりアレルギー誘発性が高まることがないよう、特に万全を期して確認試験を行います。新たに作られるタンパク質がアレルギーの原因にならないか、国際基準に沿って詳しく調べられ、アレルギーを引き起こす可能性が極めて低いことを確認して、はじめて市場に流通することが許されるのです。
食物アレルギーは、食物に含まれるある種の成分に対する免疫反応によって起こる過敏症で、ひどい場合には全身ショック症状を引き起こすアナフィラキシーなどが知られていて、重篤な場合には死に至ることがあります。これらの原因となるアレルゲンは、人によって異なりますが、小麦、そば、落花生、牛乳、卵などに含まれることが知られています。食物アレルギーは、アレルゲンとなる成分が微量でも発作が引き起こされてしまうため、患者さんにとっては深刻な問題です。このため開発企業は、遺伝子組み換え食品が遺伝子を組換えることによって、アレルゲンとなる物質を新たに生み出したり、従来から含まれているアレルゲンの含有量を高めたりするようなことがあっては決してならない、と考えます。
科学の進歩によって食物アレルギーの仕組みも次第にわかるようになり、どのような成分が原因物質になるのか、明らかになってきているため、現在わかっている科学的知見を総動員して、確認を行っています。遺伝子組み換えによって新たにできるタンパク質にアレルゲンの特徴と類似点がないかどうか、開発の段階で徹底的に調べ、ここでアレルゲンとなる可能性が少しでもあれば、開発はもちろん中止します。
具体的には既に知られているアレルゲンの特徴と類似点がないかどうか調べます。
(1) 構成するアミノ酸の配列に類似点がないか確認
既知アレルゲンのアミノ酸の配列はデータベース化されています(2017年1月現在:2035、ネブラスカ大学アレルゲンデータベース:http://www.allergenonline.com)。これらアレルゲンとの間で、アミノ酸配列に類似点がないか、調べます。
(2) アレルゲンに共通する性質を持っていないか確認
これまでの研究によって、アレルゲンには次のような特徴があることがわかっていますので、組み込まれた遺伝子によって新しく作られるタンパク質が、これらの条件に当てはまらないかどうか調べます。
- 胃液や腸液で消化されにくい
- 加熱による変性を受けにくい
- その食品中に高濃度に含まれていて、主要タンパク質である
- 分子量が比較的大きい(10-70kD)
現在の遺伝子組み換え食品は、アレルギーについては上記のように詳細に調べられており、従来の食品と比較して同じように食べても安全であることが確認されています。しかしあくまでも「従来の食品と同じ」ということで、大豆に対するアレルギーを持っている人の場合は、従来の大豆と同様に遺伝子組み換え大豆に対しても注意が必要です。
なお、遺伝子組み換えによって、作物中のアレルゲンの含有量を少なくする研究が現在進められています。実現すれば、お米などに対するアレルギーを持つ人でも安心して食べられるようになると期待されています。
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